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2015年 8月05日

          国民や憲法学者の「違憲」を無視
安倍政権が推し進める「戦争法案」

行き着く先は戦争と独裁

 圧倒的多数の憲法学者が「憲法違反」と指摘する安全保障法制(戦争法案)の審議が参院で始まりました。これまでの国会審議で見えてきたのは、法案が示す日本の行き着く先が「戦争と独裁」であること。そして民主国家、法治国家の破壊です。

▼戦争参加への歯止めなし

 法案の核心は、日本が攻撃されなくても、米国などの戦争に参加できるようにすること。いわゆる「集団的自衛権の行使」です。平和憲法の下ではできないとしてきた歴代自民党政権の憲法解釈を、180度変える内容です。

 国会審議では、どんな場合に日本が他国の戦争に参加できるようになるのか、あるいはできないのかについて、多くの質問が集中しました。安倍首相は中東ホルムズ海峡と南シナ海での機雷掃海、北朝鮮有事をあげますが、それ以上の具体的なことは「総合的に判断する」との曖昧な答弁を繰り返し、挙げ句には「政策的な中身をさらすことにもなるから、そんなことをいちいち述べるリーダーはいない」と逆ギレする始末。

日本を攻撃する意思が見られない国への武力攻撃もあり得ると述べるなど、事実上先制攻撃を認める驚きの答弁もしています。戦争への歯止めはありません。

・国民に知らせず参戦

 ここで懸念されるのが、一昨年に安倍政権が強引に制定した特定秘密保護法です。清水雅彦日本体育大学教授(憲法)は「国家安全保障局が事態認定し、(武力攻撃を)閣議決定するとみられるが、国会にも国民にも情報を示さない可能性がある」と指摘します。

 実際、1月にシリアで日本人人質が殺された事件での日本政府の対応は特定秘密を理由に今も闇の中。国民の政府に対するチェック機能は働きません。

 法案が示す日本の行き先は「戦争と独裁」です。推進しているのは、親族を含め一兵卒として戦地に行くことはない与党議員たち。犠牲になるのは私たち一般国民の子どもたちです。

▼極まる安倍政権の憲法軽視

 憲法軽視の姿勢もより鮮明になりました。きっかけは、与党推薦を含む3人の憲法学者が6月4日、憲法審査会で法案は「違憲」との見解を表明したことでした。以後、政府の迷走が始まります。

 まず、世間をあきれさせたのが、中谷防衛相の答弁。「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばいいかという議論を踏まえ閣議決定を行った」と、憲法をないがしろにする認識を自ら露呈したのです。

・続出する珍論・奇論

 集団的自衛権行使を違憲とする見方は、憲法学者の間では定説です。歴代政権も一貫してそう表明してきました。違憲との指摘をなんとか振り切ろうと、政府や与党からは珍論、奇論が続出。「憲法学者の言うことを聞いていては国を守れない」と政府・与党が開き直り始めた時に飛び出したのが、礒崎陽輔首相補佐官の「法的安定性は関係ない」(7月26日)という発言でした。

 法律なんかどうでもいいもんね、という政権担当者としては許されない発言です。政府が法律を守らない国は、民主主義国家でも、法治国家でもありません。独裁国家です。

▼若者狙う「経済的徴兵制」

 元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄さんは「軍隊は作戦を練る際、どのぐらいの戦死者が出るかをあらかじめ計算する。そこに訓練されたベテラン隊員はあてない。補償コストの低い若者が対象になる」と語ります。

 自衛隊は今後、入隊者の減少が予想されます。そこで予想されるのが「経済的徴兵制」。奨学金返済の肩代わりと引き換えに成り手を増やす方策が既に検討されています。

 戦争する国づくりと、労働法制改悪による貧困層の拡大は、表裏一体といえます。〈連合通信〉         
 

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