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2015年 4月21日

憲法は軍事権を認めていない
インタビュー/首都大学東京准教授 木村 草太さん

非軍事の国際貢献こそ拡大を

  国民主権が定められている民主主義の国では、国家は国民の信託を得た上でさまざまな権限を行使するものだというのが、憲法学の標準的な考え方です。憲法は、内閣、国会、裁判所などの国家機関に国民が権限を与えることを定めているのです。

 その中で、内閣の権限について定めているのが73条です。ここでは行政権のほか、外交権、予算作成権などが定められていますが、軍事権はありません。つまり国民が、軍事活動を行う権限を内閣に付託していないということです。これが日本の特徴であり、条文にないことを行えば、もちろん違憲となります。

憲法9条と同じく、軍事活動を行わない方が国際社会に貢献できるのだという考え方に基づいています。軍隊を組織する権限を9条で、軍事活動の権限を73条で否定するという構成になっています。そもそも軍隊を組織する権限がないから、行使する権限もないというシンプルなものです。

 日本の主権維持のための防衛は、軍事活動ではありません。例えば、日本の領域内で軍隊やテロリストの攻撃を制圧することは、軍事権ではなく、行政権の範ちゅうとして説明ができます。

 一方、「主権維持のために必要」とは言えないものが軍事活動となります。例えば、「日本を攻撃していない国」に対する攻撃は、行政権としては説明できません。

▼国際貢献の議論が必要

 憲法や外交について議論する際、外国の困っている人々を助けるという視点が一番大切なことだと考えています。

 政府は集団的自衛権の行使容認を含めた安全保障関連の法整備を進めようとしていますが、与党内の議論は「日本の安全のため」という枠を出ていません。「国際貢献」を崇高な理念として掲げていたはずの「憲法改正」の議論が、日本のエゴに陥り、話がズレてしまっていると言えるでしょう。

 日本は平和憲法のもと、これまで「軍事活動をしない」と国際社会に宣言してきました。

 軍事活動を一切行わないことの意義は、あらゆる紛争当事者から中立性を確保できることです。これにより、イラクの人道復興支援など、紛争当事国ではできないような、他国と違った形での国際貢献を追求してきました。

▼武力行使は一切必要ない

 私は難民支援に徹底して取り組むべきだと思っています。

 難民となった多くの人たちの生活、医療などの支援が戦地での一番の困りごとだからです。紛争が発生する度に、どれくらいの数の人々が難民になっているのか、医療や教育など現地のニーズは何かと考え、支援していくことが求められます。そうすれば、現地の人に一番喜ばれ、どの国からも恨まれることはありません。国際社会での信頼やイメージも向上します。

 「9条があるから国際貢献できていない」と後ろめたさを感じる必要はありません。後方支援や武力行使は一切必要ないのです。こうした非軍事の国際貢献こそ拡大すべきであり、日本人として胸を張って主張することが求められます。〈連合通信〉         
 

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