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2015年 6月04日

            米国の戦争に加担する「安保関連法案」
日米新ガイドラインを具体化

同盟国に犠牲の負担押し付け

 安倍政権は、自衛隊が世界中の戦争に参加できるようにする安全保障関連法案を、夏までに成立させる構えです。狙いは、新たに改定された日米防衛協力指針(ガイドライン)の具体化。米国の戦争に「切れ目なく」参加するための制度整備です。

 安全保障関連法案は、武力攻撃事態法など11本の法律で構成されます。「~事態」という概念がいくつも出てきて難解ですが、分かりにくくて当然。首相本人らも混乱している法案なのです。その核心について、小沢隆一・東京慈恵医科大学教授(憲法)は「日米ガイドラインから法案を見るとすっきりと分かる」と解説します。

 これは有事の際の、日米の軍事協力を定めた指針。この協力の範囲を、世界中のあらゆる地域に広げました。その際の後方支援や弾道ミサイルへの対応などが記されています。

 安保関連法案には、これらの内容が網羅されているのです。

 日本は戦後、専守防衛を基本とし、海外で他国と一緒に戦争すること(集団的自衛権の行使)を禁じてきました。この原則をゆがめて、国連決議が得られないような米国の戦争にも「切れ目なく」協力できる体制づくりが進行中です。
 
▼ねらいは南シナ海

 米国はこれまで、ベトナム戦争やイラク戦争など、国際社会の批判を振り切り戦争を強行してきました。

 しかし米国自身、帰還兵の自殺が年8000人にも上るなど、戦争政策を進めにくくなっています。近年は同盟国に犠牲の負担をさせる方針を打ち出すようになりました。

 日本に負担を求めているのは、南シナ海とペルシャ湾。日本政界に影響力を持つアーミテージ元米国務副長官は、2012年のレポートで同海域での防衛協力を求めていました。

 小沢教授は「米中のホットスポットである南シナ海に自衛隊が入れば、必ず死者が出る。『米日対中国』という対立を固定化し、米国による危険な挑発が行われる」と警告します。

▼高まる戦争のリスク

 安倍首相は国会で、自衛隊員のリスクが高まるとの野党の指摘にはまともに答えず、「日本国民のリスクが減る」と繰り返しています。日米の軍事協力の強化は、中国への抑止力になると言いたいのでしょう。

 現実は逆です。南シナ海での中国による軍事拠点の建設は憂慮すべきことですが、軍事的緊張を高めても解決はしません。不測の事態から戦争になれば、東アジアの国民は甚大な被害を受けます。

 今必要なのは、戦争の準備ではなく、戦争を起こさないための対話です。ところが、安倍政権は過去の侵略戦争を賛美する言動を繰り返し、中韓両国との首脳会談は今も実現していません。

 中国の脅威を口実に、念願の海外派兵を本格化させ、日本の若者を米軍に提供することが、安保関連法制の狙い。「亡国」の政治そのものです。

【ガイドライン】
 「同盟は日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対処する。当該事態については地理的に定めることができない」

【対応】周辺事態法改正案
  ※日本周辺の有事の際の日米の軍事協力を定めていたが、「我が国周辺の地域」を削除し、世界中の紛争への対応が可能に。

【ガイドライン】
 「自衛隊は、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に対処し、日本の存立を全うし、日本国民を守るため、武力の行使を伴う適切な作戦を行使する」

【対応】武力攻撃事態法改正案 自衛隊法改正案
  ※日本が直接攻撃されなくても、自衛隊が他国を攻撃できるようにする。〈連合通信〉         
 

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