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憲法足蹴にして米軍支援へ |
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戦争関連一括法案の読み方 |
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安倍政権が国会に提出した安保関連法案(戦争法案)は、一括法案(10本の法改正)と新たな国際平和支援法案の合計11本を整備するもの。首相は夏までに仕上げたい考えで、国民が「難しくてよく分からない」と言っているうちに成立させてしまおうという作戦である。法案は何を狙っているのだろうか。 ▼「切れ目なく」の意味 首相は5月14日の記者会見で、今回の法案について「切れ目のない備えを行うためのもの」と繰り返した。確かに日本を守る上で「切れ目」や「すき間」があるなら心配になる。しかし、どこが切れ目なのか、具体的で納得できる説明はされていない。 考えられるのは、米軍と一体になって軍事行動を行う際に、「これはできるが、それは憲法上無理」というケースが出てくることだろう。例えば、外国での機雷除去。米軍が日本にやってほしいと考えても、日本への攻撃がない状態では自衛隊は出動できない。そうした「切れ目」をなくすのが目的と見た方が理解しやすい。 切れ目をなくすのは日本を守るためだと、うその説明をするから分かりにくくなるのである。 ▼できないことは何か 今回の法案が成立した場合、何ができるようになるかだけでなく、何ができないかを考えてみたい。 日本が攻撃されていない状態で他国を守る集団的自衛権の行使。それとは別に国連などの名の下に行う軍事支援活動。それも日本の周辺には限らない。これだと、外国で起きるたいていの戦争を支援することが可能となる。できないのは、日本が単独で行う侵略戦争くらいではないか。 武力行使の内容について、法案は「必要と判断される限度で」「必要最小限のものに限る」とうたっている。必要最小限とは言うものの、この規定だけでは歯止めになり得ない。既に機雷除去や戦闘に参加している軍隊への武器提供まで定め、従来の枠組みを踏み越えているのだ。 そもそも、歯止めを決めたところで、今の政権が守る保障があるのかどうか疑わしい。国の大本を定めた憲法でさえ無視して平気な人たちだ。TPP(聖域が守れなければ交渉から撤退する)や原発(福島原発事故はコントロール下にある)でもうそばかり言ってきた安倍政権。今回に限って「歯止めがあるから大丈夫」と言われても、とても安心できない。 ▼憲法前文の確認を 今回の法案を読むとき、改めて思いだしたい戒めがある。憲法前文だ。 「国民は…政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」という部分である。 安倍政権は与党多数の力を背景に、国民や国会を軽視して戦争法制定を強行しようとしている。これは、中国などへの抑止力を高めることでもあるという。抑止力とは、言い換えれば脅しのこと。憲法9条が禁じる「武力による威嚇(いかく)」と紙一重である。 どんな理由があろうと、こうした政府の行為は、国民による不戦の決意を踏みつけにするものだろう。今回の法整備は、国民主権に対する挑戦であることを肝に銘じておきたい。〈連合通信〉 |
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