「全国的な俸給水準引き下げ」をあらためて表明
「給与構造の見直し」にむけ人事院が「素案」を提示 |
人事院は4日、公務労組連絡会に対して、04勧告で表明した「俸給構造の基本的見直し」にかかわって、今後、労働組合などと交渉・協議をすすめていくうえでの「素案」を提示しました。 「素案」の内容は「地域給与」と「査定昇給」の導入を打ち出した04勧告における報告の域にとどまっていますが、給与の地域間格差の拡大にむけて、全国的な俸給水準の引き下げや、現行の調整手当の廃止などの方向をあらためて明らかにしています。 人事院が05勧告での見直しを表明していることからも、公務労組連絡会では、年内から職場・地域での学習・討議をすすめながら、「骨太の方針」や「三位一体の改革」など小泉「構造改革」とも密接に関連する「給与構造見直し」へのとりくみを強めます。 調整手当を廃止し20%を上限とした地域手当を検討 人事院からの「素案」提示には、公務労組連絡会から若井事務局長、黒田事務局次長が出席、人事院は、職員福祉局の宮本参事官が対応しました。 宮本参事官は、「素案は、今年の勧告の報告をふまえて、今後の見直しの考え方を関係の労働組合や各省当局に対して、人事院として公式に提示したものだ。来年の勧告にむけて、見直しを具体化するため労働組合をはじめ関係者と議論をすすめていく」とのべ、別添資料に示された見直しの課題を明らかにしました。 「素案」の内容は、「俸給水準の引き下げと地域に応じた適切な給与調整の実現」として、地域ごとの官民給与比較の結果をふまえて、全国共通俸給表の俸給水準を引き下げ、そのうえで、20%を上限とした地域手当(地域調整額)を地域ごとに支給するとしています。また、これにともなって現行の調整手当の廃止も検討課題としてあげられています。 マスコミでも大きく取り上げられた「査定昇給」では、「実績評価にもとづく昇給制度」にむけて、普通昇給・特別昇給を廃止するとともに、1年1号俸という現行の号俸を細分化したうえで、「査定昇給」を導入するとしています。 その他、本府省職員に対する手当の新設など、本省優遇の方向も示されており、「素案」は、04勧告の報告を土台にして、人事院が労働組合や各省など関係者に対して、来年の勧告にむけた見直しを公式的に表明したものと言えます。 「素案」の提示をうけ、若井事務局長は、「公務労働のあり方と賃金のあり方は密接不可分に関連している。そのことから、単に民間準拠ではなく、公務にふさわしい給与水準や体系、制度がどうあるべきなのか、原点をふまえた議論が重要だ。また、大きな課題であり、はじめから来年勧告というような時期を固定化せず、幅広い視点での議論が必要だ」と指摘したうえで、今後のすすめ方にもかかわって、「勤務条件そのものであり、労使合意を追求するための十分な議論が不可欠だ。また、地方公務員では、総務省の研究会での議論がすすめられているが、人事院の給与構造見直しも影響することになる。その点から、国と地方の公務員労働者を組織する公務労組連絡会に対して、交渉対応のレベルアップをふくめた十分な交渉・協議をはかることを求めたい」と要請しました。 職場・地域からの学習を通してたたかいの意思統一を 「地域給与」の導入は、公務員労働者の給与の地域間格差を拡大することにとどまらず、地域経済にも否定的な影響をおよぼすことが予想されます。また、小泉「構造改革」のもとですすめられている地方切り捨ての「三位一体の改革」とも密接に関連を持っています。 そのことは、人事院の「給与構造の見直し」と並行して、総務省が先月、財界や学者、労働組合、さらには人事院からも委員を招き、「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」を立ち上げ、自治体職員や教員の給与制度の見直しをすすめようとしていることからも明らかです。 こうした見直しのねらいや問題点を職場や地域から明らかにし、公務労働者全体でたたかいをすすめていく必要があります。そのことから、公務労組連絡会では、現在、地方公務産別組織ごとに「地域学習会」の開催をすすめています。また、公務労組連絡会としての「討議・学習資料」(A4版・6ページ)を作成し、活用を呼びかけています。 人事院が公式的な「素案」を明らかにするもと、学習をすすめながら、今後のとりくみにむけたしっかりとした意思統一をはかることを訴えます。 |
公務労組連絡会ホームページより(人事院が提示している「給与構造の見直し」素案) |
自治労連の見解 |