人事院の「給与構造の基本的見直し」素案

○ 公務部内の不均衡を是正するとともに、国民から納得される公務員給与となるよう地域における公務員給与水準をより民間実態に即したものとする。
○ 職務給にふさわしい俸給表構造に改めるとともに、職務・実績に応じた処遇の強化を図る。
○ 複線型人事に資するよう給与制度を整備する。

1、俸給水準の引き下げと地域に応じた適切な給与調整の実現

 地域における国家公務員の給与水準について、地域ごとの民間賃金の水準を的確に反映したものとなるよう、次の措置を講じる。
(1)民間賃金の低い地域(ブロック)の官民給与比較の結果を考慮して、全国共通俸給表の俸給水準を引き下げる。
(2)地域の民間賃金との均衡を図るため、民間賃金の相対的に高い地域に勤務する職員に対し、地域手当(地域調整額)を支給する。地域手当(地域調整額)による調整は、官民給与の地域差を考慮して俸給等の20%程度を上限とする。
(3)円滑な転勤運用を確保するため、転勤手当を新設する。現行の調整手当及び異動保障は廃止する。

2、俸給表構造の見直し

 より職務・職責を反映し得るよう、級間の水準差の是正、級構成の再編、昇給カーブのフラット化などの俸給表構造の見直しを行う。
(1)級間の水準差の是正と級構成の再編
 各級の水準の重なりが大きいことが、公務員給与が年功的と受け取られる要因となっていることを踏まえ、級間の水準の重なりを少なくする方向で見直すとともに、行政職俸給表(一)の級構成の見直しを行う。
  その他の俸給表はこれとの均衡を考慮しつつ必要な措置を行う。
(2)昇給カーブのフラット化
 年功的な給与処遇の是正を図るため、次のように昇給カーブのフラット化を進める。
 民間の同年齢層の給与水準と比べ高い水準にある各級の高位号俸の水準を引き下げる。(水準の引き下げ幅については、民間の中高齢層との水準格差を踏まえ、地域調整のための一律引き下げ分とも合わせ、均衡を図る)
 高位号俸の水準引き下げにより生ずる原資を用いて、前半号俸の引き上げを行う。適用者の極めて少ない4級以上の各級の若い号俸については号俸カットを行う。

3、勤務実績の給与への反映

(1)実績評価に基づく昇給制度の導入
 勤務実績が昇給額に適切に反映されるよう、毎年の職員の勤務実績に基づいて昇給額を決定する昇給制度(査定昇給)を導入し、現行の普通昇給と特別昇給を廃止する。
 1) 昇給幅の細分化等
 勤務実績をきめ細かく昇給に反映させるため、現行の号俸を細分化し、勤務実績に応じた昇給の基準を設定する。また、現在4半期に1回とされている昇給期を年1回とする。
 2) 枠外昇給制度の廃止
   職務給の徹底を図るため、いわゆる枠外昇給制度を廃止する。

(2)勤勉手当への実績反映の拡大
 民間における特別給の考課査定分の動向を踏まえつつ、勤務実績を支給額により反映し得るよう、標準者の支給月数の引き下げなどによりプラス査定のための財源を確保するとともに、成績率及びその分布割合の基準を設定する。

(3)昇格(降格)基準の見直し
 下位の級での勤務実績に関する具体的要件(例えば、昇格前一定期間又は一定の回数の実績評価の結果に表れた勤務実績が標準を上回っていること等)を設定するなど昇格(降格)の基準の明確化を図る。

4、その他の課題

(1)行政の多様化、複雑・高度化に対応するため、高度の専門能力を持つスペシャリストがスタッフとして活躍できる処遇の枠組みを準備するとともに、在職期間の長期化への対応として、職員が専門的な能力・経験を活かしつつ多様な働き方ができるよう、複線型の人事制度の導入に向けての給与制度上の環境整備として、3級構成程度の簡素な級構成の専門スタッフ職俸給表を新設する。
(2)職務・職責をより反映するという観点から、本府省職員に対する手当の新設及び俸給の特別調整額の定額化を行う。
トップに戻る