人事院「給与構造見直し」(素案)の提示にあたって |
自治労連の見解 2004年11月4日
(1)人事院は11月2日、「給与構造の基本的見直し」(素案)を関係労働組合に提示した。この素案は、04年人事院勧告の報告で出された「給与構造の基本的見直し」に沿ったもので、今後の見直しの考え方を「人事院として正式に提示したもの」で、05年勧告に向かって関係者と論議をすすめるためのものと位置づけている。 (2)素案は、04人勧の報告とほぼ同じ内容で、@「俸給水準の引き下げと地域に応じた適切な給与調整の実現」として、全国共通の給料表の水準を切り下げ、地域の民間賃金に応じて20%を上限に地域手当(地域調整額)を支給すること、A「俸給の構造を見直し」として、級間の水準差の拡大や昇給カーブのフラット化、B「勤務実績の給与への反映」として、普通昇給や特別昇給を廃止し「査定昇給」制度の導入すること−などを柱としている。これは、賃金水準の引き下げと「能力・成果主義」の評価制度による差別を拡大するものである。また、小泉内閣の「公務員制度改革」と一体的にすすめられ、総務省の「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」の動きと合わせて、賃金制度を根本的に転換し、公務員のあり方を変えることをねらったものである。 (3)いわゆる「地域給」は、@750万公務関連労働者の大幅賃金引下げにより、不況であえぐ地域経済に直接打撃与えるものである。また、A地域の民間賃金が低い要因となっている大企業と中小企業の賃金格差を固定化するとともに、社会的規範性を持つ公務員賃金の引き下げにより、いっそう民間の賃金を引下げるものである。さらに、松下電器などごく一部に留まっている大企業労働者の地域による格差制度の導入をすべての大企業に拡大させることに道を開き、いっそう民間賃金の引下げをまねくものである。そして、B「三位一体改革」等による深刻な地方への財政悪化のうえに、さらに人件費低下を口実に地方交付税等を削減し地方財政の深刻化をまねき、行政水準の地域間格差をいっそう拡大させ、住民福祉の後退につながるものである。 (4)年功的制度の是正をはかるとして検討されている「能力・成果主義」を柱とした新たな賃金制度への転換は、すでに民間職場でも「破綻」が表面化しているように「競争と差別」を拡大し、職場の集団性を破壊し、住民の福祉向上に専念する土台を崩し、公務員のあり方を根本的から歪めるものである。 (5)自治労連は、人事院が示した「給与構造の基本的見直し」(素案)は、到底認められない。また、「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」が今回の素案に沿ってすすめている地方公務員への「地域給」導入や「給与構造の見直し」の押し付けを許さず、職場、地域での学習を広範にすすめるとともに、地域から公務・民間労働者の共同を強める。そして、「三位一体改革」に反対し、地方自治拡充を求める共同を広げる取り組みと結合し、全力でたたかうものである。 (以上) |
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