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賃金・給与構造



企業規模「100人以上」から「50人以上」に見直し

いっそうの地域間格差拡大に拍車

 従来比較なら月例給、一時金ともプラス

 人事院は8月8日、 国家公務員の給与及び勤務時間等に関する報告と勧告を内閣と国会に提出しました。 今年の人勧の最大の問題は、 官民比較の企業規模を 「100人以上」 から 「50人以上」 に 「見直し」、 本来なら月例給、 一時金ともプラスとなっていたにもかかわらず、 給与改定を見送ったことです。 政治的圧力に屈した結果といえます。 府職労は、 06人勧にあたって次の見解を発表しました。

 比較規模変更は重大なルール違反 府職労見解

 人事院は8月8日、 国家公務員の給与および勤務時間等に関する報告と勧告を内閣と国会に提出した。 今年の勧告の最大の問題は、 人事院が官民比較方法を 「見直し」、 比較対象企業規模を従来の100人以上から50人以上に改めたことである。
 官民比較のあり方は、 民間準拠を唯一最大の根拠とする人事院勧告の根幹部分であり、 公務員賃金水準や配分のあり方を事実上左右する労働条件問題そのものである。 とりわけ、 比較企業規模の 「見直し」は、 特別給 (ボーナス)を含めた公務員賃金水準に直結するものである。 現行比較企業規模は1964年以来40年以上にわたり定着し、「企業規模100人以上」 の決定は、 政府と労働組合との交渉経過をふまえたものであることからも、 合理的な理由なく人事院が一方的に変更したことは、 重大なルール違反だと言える。人事院は、昨年の勧告で、「現行の比較方法による公務員給与水準は適正であるが、 配分に問題がある」として「給与構造改革」を強行したが、その立場を投げ捨て、より給与水準の低い、 企業規模50人以上の従業員についても比較の対象に加えることとしたことは、 労働基本権制約の「代償機関」、専門的・中立的機関としての役割を放棄したものだと言わざるを得ない。

 政府の露骨な圧力に屈服した人事院

 この背景には、 政府による公務員賃金の抑制政策があることは明らかである。 7月7日に閣議決定された 「骨太方針2006」 は、 社会保障費、 公務員の総人件費などの歳出を削減するとともに、 国民に消費税増税をおしつける内容となっている。 特に国家公務員人件費の 「更なる改革」 としての比較対象企業規模の見直しをうたっているが、 その要請にこたえたことは、 人事院が政府の露骨な介入に屈服したものだと言わざるを得ない。 また、 総務省は、 「地場賃金の反映」 を求めているが、 今勧告での企業規模引き下げは、 いっそうの地域格差の拡大と賃下げに拍車をかけるものとして看過することはできない。

 従来方式なら月例給1・12%アップ

 今回の勧告の具体的な問題点は次の3点である。
 第1は、 今春闘では、 前年を上回る状況がつくられ、 月例給・一時金ともに引き上げの勧告が予想された。 従来の比較方法によれば、 月例給が1・12%(4、252円)、一時金が0・05月のプラスとなっていたにもかかわらず、官民比較方法の 「見直し」により較差が帳消しにされ、月例給、一時金ともに給与引き上げの勧告が見送られた点である。
 第2は、 現在定率で支給されている国家公務員の特別調整額 (管理職手当) について、 地方機関に勤務する管理職の支給割合を引き上げた上で、 手当を定額化した点である。 これは職階職務給を強化する不当なものである。 また、 勤務実績の給与への反映として、 新たな昇給制度と勤勉手当への実績反映の拡大を一般職員に適用するとした点も問題である。 民間企業で破綻しつつある 「能力・成果主義賃金」 の強化は、 公務労働者の 「全体の奉仕者」 という基本的性格をゆがめるものであり許されるものではない。
 なお、 子等に係る扶養手当について、 第3子以降を1、000円引き上げ、 2子目までと同額の月額6、000円に改定するとした。 これは、 私たちの要求をふまえたものとして評価できる。

 
 公務労働の変質につながる短時間勤務制

 第3は、 育児のための短時間勤務制について言及したことである。 「職員の職業生活と家庭生活の両立を支援」 するとして、 育児のための短時間勤務制とその後の補充のための任期付短時間勤務職員制を導入するとしているが、 公務労働の変質につながる重大な問題をもつものであるといわざるを得ない。 いま、 一番求められているのは、 異常な長時間労働を解決するなど、 だれもが、 職業生活と家庭生活を両立させられる賃金・労働条件を確立することである。 そのことには背を向けて、 給与カットを伴う短時間勤務制を導入することは、 低賃金で家族的責任を担うか、 家庭を犠牲にして長時間労働を強いられるのかの二極分化をすすめるものである。 また、 補充のための任期付短時間勤務職員制を導入することは、 不安定な非正規雇用労働者をさらに増やすものであり、 雇用の流動化をすすめるものである。
 
 賃上げでこそ生活改善

 私たちは、 この間、 自治労連・公務労組連絡会に結集し、 人事院への署名や中央行動など公務員賃金引き上げを求めとりくんできた。 人事院勧告が出されたもとで、 京都府人事委員会に対して、 政府・総務省からの露骨な介入に屈することなく、 生活改善につながる勧告を行うよう求めるとともに、 新たな評価制度などの給与構造改革問題での継続課題、 休暇制度や特勤手当などの独自課題での要求前進をめざし、 賃金確定闘争に全力をあげるものである。 また、 最低賃金の引き上げや非正規雇用労働者の労働条件改善に向けて運動を強めるものである。
 同時に、 勧告の政治的意図を打ち破るために、 国民と公務員の分断を許さない大きな共同を広げるとともに、 憲法と教育基本法の改悪を許さないためにも奮闘するものである。 (勧告の概要)

 


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