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賃金・給与構造





政府の圧力に屈して、比較対象企業規模を引き下げ

           2006府人事委員会勧告に対する見解

一 京都府人事委員会は10月12日、知事と府議会議長に対して平成18年度の「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行いました。
 その最大の問題は、人事院勧告に追随して、比較対象企業規模を従来の100人以上から50人以上に「見直す」ことにより、官民の給与水準がほぼ均衡しているとして月例給、一時金ともに改定見送りの勧告を行ったことです。従来の比較方法によれば、国を上回る月例給1.17%(5,110円)、一時金が0.05月の改善勧告となっていたにもかかわらず、その較差を帳消しにする意図的な「ゼロ勧告」を強行しました。今春闘では、前年を上回る賃金改善の状況がつくられ、京都府の最低賃金も4円引き上げられるなど社会全体が賃金改善傾向に向かっていました。こうした中での「ゼロ勧告」は、「給与構造改革」による賃金水準の引き下げなど厳しい状況におかれている府職員の切実な願いを打ち砕くとともに、民間賃金にも悪影響を及ぼすことは必至です。

二 官民比較方法のあり方は、民間準拠を最大の根拠とする勧告制度の根幹部分であることから、私たちは府人事委員会に対して、政府・総務省の圧力に屈服することなく、「比較対象企業規模を50人以上に引き下げた調査結果は勧告に反映させず、基本給・一時金ともに従来方法で勧告を行う」よう求めてきました。ところが、府人事委員会は、「総務省の研究会等における議論は公務員全般に共通するもの」、「社会一般の情勢に適応した適正な給与が確保されていると言うためには、広く一般の理解が得られている必要」があり、「民間企業の給与水準をより適正に反映させる観点」から、官民比較方法の「見直し」を行うとしました。
 今回の「見直し」の背景には、政府による公務員賃金の抑制政策があることは明らかです。「骨太方針2006」では、地方公務員の人件費改革の一環として、地域の民間給与のさらなる反映、「ボーナスの支給月数の地域格差の反映」「特殊勤務手当の削減」などを強く求めており、こうした圧力に府人事委員会が屈服し、労働基本権制約の「代償機関」、専門的・中立的機関としての役割と責任を放棄したものだと言わざるを得ません。

三 「給与構造改革」については、「引き続き職務・職責等に応じた処遇を推進することが必要」とした上で、平成19年度から実施する事項として、第一に管理職手当を現在の定率制から定額制にするとしていますが、これは職階職務給を強化する不当なものであると言わざるを得ません。第二に扶養手当について、「本府においても少子化対策は喫緊の課題」であるとして、扶養親族である子等のうち、3人目以降に係る支給月額を1,000円引き上げるとしています。これは、私たちの要求をふまえたものとして評価できます。給与構造改革にかかわって私たちは、平成21年度までの昇給抑制などによる財源を活用し、府人事委員会として独自の対応をすべきと求めましたが、その要求に背を向けたことは問題です。

四 職員の勤務条件については、「時間外勤務が長時間に及ぶ職員が相当数存在している」との認識を示し、「各職場で、実情に応じた実効ある取組をすすめていく必要がある」と言及していること、また職員の健康管理については、「メンタルヘルス対策を引き続き重要な課題と認識し、継続的かつ計画的な取組を推進していくことが求められる」と言及していることは重要です。
 一方、国や他の地方公共団体の取扱いを踏まえ、「休息時間については廃止するとともに、休憩時間については対応を検討する必要がある」「病気休暇・休職制度の在り方について検討する必要がある」としている点は、労働基本権制約の「代償機関」どころか、政府による自治体への介入をそのまま代弁するものとして看過することはできません。

五 また、人材管理のうち、人事評価にかかわって、「新たな人事評価制度の確立が不可欠」との認識を示した上で、「職務行動の評価や目標の達成状況評価などの手法を用いること」や「自己評価や面談等の手法を用いることにより評価者と被評価者との認識の共有等を図ること」など評価制度のあり方について言及している点は重大です。
 そもそも昨年の人事院による「公務員人事管理に関する報告」の中で、「人事評価制度の導入にあたっては、職員をはじめ各府省や職員団体の理解と納得を得られるよう、関係者間で十分協議を行っていくことが不可欠である」と述べられているように、人事評価制度は労使の協議事項であり、現在まさに府職労と京都府当局が議論している最中の課題です。にもかかわらず、人事委員会が評価制度の手法を具体的に言及している点は重大な問題であると言わざるを得ません。

六 人事委員会勧告が出され、いよいよ年末確定闘争が本格化します。当局との確定交渉では「新たな評価制度」、昇任・昇格基準や選考方法など、職場で団結できる民主的な賃金制度の確立、休暇制度や特勤手当など独自課題での要求前進をめざして奮闘しましょう。そのためにも引き続き学習を深めながら全組合員の団結署名や支部・分会・専門部での要求書の提出と交渉の実施などたたかいをおおいにすすめましょう。
 また、安倍内閣の発足で、憲法・教育基本法改悪や道州制導入の危険な動きが加速しています。また、府立両大学の独立行政法人化など府政の「構造改革」も矢継ぎ早に具体化されてきています。それだけに今年の年末確定闘争は重要なとりくみとなります。職場を基礎に全国の仲間とともに、新たな攻撃に立ち向かう今年の年末確定闘争に全力をあげましょう。


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