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賃金・給与構造

崩壊する成果主義賃金の神話

競争・降給・ストレス…

企業にもマイナス要素目立つのに、なぜ公務職場に

 給与構造改革で、成果主義賃金の導入が提案されています。京都府では、査定昇給制度の検討がされ夏季交渉で職員長は「透明性・納得性・公平性・合理性のある評価制度をつくる」と回答しました。
 民間の職場では、成果主義賃金は破綻、いっせいに見直しがされています。すでに破綻した成果主義賃金はなぜ破綻したのか、公務職場に導入されようとしている「評価制度とは」、7月4日、京都自治労連や京都医労連などが共催で「成果主義賃金のもとで民間・公務職場はどうなるか」とのテーマで、学習交流会がもたれました。


 結局は人件費の総額削減が目的

 民間における成果主義賃金の実態について、化学一般の屋田委員長が講演。屋田さんは講演の中で、「成果主義賃金」の最大の特徴は、「職務給・能力給と根本的に違うのは、個人の昇給・降給を決める制度―会社が賃金水準を自由にコントロールできる制度」だといいます。
 これまでの職務給・能率給は、賃金に格差を儲けながらも「降給」はなかったといいます。「成果主義の最大の狙いは、労働者に支払う賃金総額を引き下げるための究極の制度」なのです。
 この結果、企業では「成果を競わすために職場の人間関係が崩壊する」「熟練者が成果を後輩にとられないため技術を伝承しなくなった」「達成可能な低い目標設定がされだした」など、企業にとってマイナス面が噴出しています。また、競争にあおられ評価がマイナスになる超勤を請求しない、長時間労働が横行、メンタルヘルスの急増など人間性を否定する状況が生まれています。
 京都化学一般の職場では、成果主義や目標管理制度が強行されても賃金に連動させないたたかいをすすめています。


 数値目標で教職員しばる「学校評価システム」

 成果主義賃金制度が企業で破綻しているにもかかわらず、自治体や学校現場、福祉・医療職場でも導入の動きが強まり、非常に高いストレスを抱えながら仕事をしている実態が報告されました。
 京都の公立学校では、「学校評価システム」と「教職員評価制度」が全校で試行され、今年度から本格実施されています。
 小学校の「学校評価」では「具体的数値目標」がかかげられ、例えば「不登校がない」「家庭学習の時間が1年生は(小学校)1時間45分以上できている」「(漢字検定で)5級合格者30名」「(社会の)定期テスト・3年 平均70点以上」など30項目以上の課題が目標とされています。「目標」に基づき1年間で結果を評価。「学校評価」の「数値目標」を達成するため教職員の「自己目標設定」を提出、3回の面談が行われ、実施状況が評価されていきます。
 この「学校評価」が、東京では公表されました。この結果、学力テストの成績が低い小学校に入学児童が1人もなく入学式ができない事態も生まれています。
 「学校評価」と「教職員評価制度」がリンクされ、その結果「管理職による評価を気にするあまり管理職に媚びたり、困難な課題の担当を避けたり挑戦しなくなる」「自分の失敗をだれにも知らせたり相談したりせず、隠蔽するようになる」状況が先行して実施されている他府県から報告されています。


 患者の確保へ医師のランク付、入院日数削減

 病院職場では、成績主義賃金導入のためにコンサルタント契約がされているようです。1病院200万円ものコンサル料で「看護能力段階表」や医師の「業務能力適正評価シート」が作成されていると言います。 民間病院も自治体病院も、国の診療報酬引き下げや低医療費政策により、経営が圧迫され、そのしわ寄せが医師や看護師、職員に押し付けられています。病院は「生き残り戦略」として成果主義賃金の導入を図っています。
 ある病院の「業務能力適正評価シート(医師)」では、「確実に問診できる」「カルテ記載に不備はない」など当たり前のことが評価される一方、「外来患者・入院患者数などの維持増加に貢献している」項目があります。
 患者数を確保することと入院患者を早く退院させることが目標とされたり、人件費削減ため医師のランク表が公表されたりする病院もあるそうです。
 病院職員の「シート」では、「什器備品など大切にしたか」の項目が設定されています。職員が食事を運ぶトレイをぶつけてしまい、修理に100万円かかるというので、「職制に報告すればマイナス評価になるので自分で修理費をだそうと思う」という相談が組合にあったといいます。仕事中の事故も自己責任にされかねない状態です。
 「超勤減らせ」の「シート」により残業の申告ができない状況も。
 職員管理のため「言い訳が目立つことがないか」「指示、方針通りか」「与えられた仕事は最後までやり終えたか」の「シート」を設定、職員支配の強化と自己管理の徹底がはかられています。


 福祉の職場でも速さで評価

 福祉職場では、4月から実施された人事院の「給与構造改革」が導入され、「評価制度」が6月のボーナスから適用されています。ここでも「目標管理シート」が作成され、「仕事が速いか、遅いかで評価され障害者への思いやりは評価されない」といいます。
 成績主義は、労働者の心と体をぎりぎりまで追い詰めていきます。メンタルヘルスが増える大きな原因といえます。


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