京都府職員労働組合 -自治労連- Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金データーベース 料理
賃金・給与構造

大幅引き上げの要求を無視した不当な答申

06年度中央最賃審議会の最賃改定目安答申について

全労連・坂内事務強調が談話

1.本日、中央最低賃金審議会が開かれ、2006年度の地域別最低賃金の改定の目安として、「A・Bランク各4円、Cランク3円、Dランク2円」という引き上げ額を示すことが確認された。生計費に遠くおよばない今の地域別最低賃金を、法の趣旨をみたす水準まで引き上げることは、審議会の急務の課題である。にもかかわらず、わずか2〜4円の改善とした今回の目安は、きわめて不十分であり、かつ、地域間の格差を容認・助長している点で、きわめて不当であるといわざるをえない。

2.目安審議の中で、使用者側は、景気回復を認めつつも、地域や産業、企業規模間で景況感にばらつきがあるとし、Dランクの賃金上昇率ゼロを強調して有額目安に反対した。労働者側は、所得の二極化や低所得層の生活苦をふまえ、二桁台の目安を主張した。労使の意見が乖離する中、公益委員見解をもって委員会報告とすることとなったが、公益委員は従来どおり、従業員30人未満の小規模企業の賃金動向を調べた「賃金改定状況調査」を重視し、上記のような不十分な判断を行なった。現行法のもとでも可能な制度改善の機会を見送ったことは、多くの労働者の期待を裏切るものであり、厳しく批判されなければならない。

3.景気は回復基調を持続しているが、労働者の生活改善は進まず、急増する低賃金・不安定雇用労働者の生活は悪化している。「格差社会」の進行、「ワーキング・プア」の増大が社会問題化し、多くの国民が地域別最低賃金額の抜本的引き上げを求めている。公益委員自身も、「すべての労働者の賃金の最低限を保障する安全網として十全に機能する」最低賃金を求めていたはずである。景気回復の流れや一般賃金の動向に遅れ、中央最低賃金審議会の目安は、昨年ようやく4年ぶりの有額回答をだしたところであり、本来であれば、今回は大幅引き上げを行なって、企業部門の回復と低賃金労働者の賃金停滞というギャップを一気に補正するべきであった。

4.賃金実態からみても、現行の最賃額は、中小零細の地場の賃金水準よりかなり低い。実際には中小零細企業でも、最賃より高い賃金を支払い、労働者の定着と熟練の向上をはかって努力しているところが数多くある。また、私たちは低すぎる最低賃金の引き上げを基軸とした公正取引ルールの確立を要求しているが、この主張に共鳴してくれる中小企業家も少なくない。使用者委員は、こうした事実を省みず、低賃金構造と不公正取引を温存して賃金相場を引き下げる主張を繰り返すことで、かえって地域経済と地方の小規模企業の持続的発展にとっての障害を生み出していることを十分、認識するべきだ。

5.全労連は、この間、4次にわたる民間・公務一体での「最賃デー行動」を実施し、「地域別最賃を生活保障賃金へ」、「当面、時間額1000円以上、日額7400円以上、月額15万円以上に」、「地域間格差解消・全国一律制確立」、「産別最賃廃止反対」、「均等待遇実現」の要求を主張してきた。地方では、最賃生活体験運動、街頭宣伝、署名、行政との交渉、経営者団体・労働団体との懇談、自治体意見書採択運動などに取り組み、地域別最低賃金制度の抜本的改革を求める世論を形成してきた。
 今後、各地方最低賃金審議会で、具体的な改定審議が進められる。不当な目安を突破し、地域別最低賃金の大幅引き上げを実現することが求められている。とりわけDランク地方の奮闘に期待しつつ、全労連は各単産・地方組織とともにさらに運動を強めるものである。
 同時に、労働条件分科会・最低賃金部会において審議されている最低賃金法の改正において、全労連は、金額の抜本的な引き上げと公正競争ルール設定に資する全国一律制度を要求し、ナショナル・ミニマムの基軸となりうる最低賃金制度の確立を勝ち取る決意を表明するものである。
 以 上


賃金・給与構造インデックスへ