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京都府職員労働組合
府政トピックス

[2003.6.26]

「地方独立行政法人法案」廃案めざして


2003年6月 京都府職員労働組合

1.はじめに

国においては、すでに2001年4月に独立行政法人制度が発足し、造幣局や国立科学博物館、国立美術館、農薬検査所など52の特定独立行政法人、5つの非特定独立行政法人が発足しました。また、2004年度から国立病院・療養所や国立大学などを独立行政法人化する動きがあります。そして現在「地方独立行政法人法」案が、国会に提出されています。6月3日衆院総務委員会で、質疑が行われ、野党4党が反対討論を行いましたが、与党(自民・公明・保守)が委員会採択を強行しました。この法案が通れば、各自治体でも具体化が進行していくと考えられます。
京都府においても現在、試験研究機関の統合やあり方の検討、京都府社会福祉事業団の「事業団の新たな役割と効率的な経営をめざして」とした指針の提案(03.3.27)、「府立の大学あり方懇話会」の「人事・予算等の弾力化、戦略的で効率的な大学運営などをはかるため、独立法人化の導入にむけて検討することが必要である」との提言(03.3.29)、府立医大病院や府立3病院における「経営改善の推進」など、独立行政法人化を視野に入れた動きが強まっています。
独立行政法人化は、住民自治・団体自治を歪める制度であり、また、当該法人に働く労働者の労働基本権や労働条件決定にシステムに重大な問題が存在します。地方独立行政法人法案を認めることはできません。世論の力で廃案めざすため、独立行政法人化の問題点を明らかにしました。職場議論に活用してください。

2.地方独立行政法人制度とは

「行財政改革」の名で自治体リストラをすすめようとするものです。特徴は、民間企業の参入が期待しにくい事務事業に関し、これを行う組織を地方自治体から切り離して別組織とすることによって、経営収支の面での「独立性」を強調し、人件費の切り下げをはかろうとするところにあります。民間企業で行われている分社化リストラの自治体版であり、住民サービスの低下のおそれがある上、自治体労働者の権利保障の点でも大きな問題を含んでいます。まさに、公務公共サービス部門のリストラ促進法案であり、しかも、一方的に労働者の身分をも奪うファッショ的法案です。


自治労連と総務省との交渉で明らかになった点は、@現在の公営企業との違いは、事業計画や予算、決算を議会の議決によらず、効率的な事業運営を行う。A対象事業は、研究組織、大学、公営企業(水道、病院等)、社会福祉(介護、保育等)施設。その他公営施設。但し、教育 委員会所管施設(図書館、美術館等)は考えていないが、大規模な国際会館などは想定している。B「公務員型」か「非公務員型」かの判断基準は一定のものを示す。ただ、同じ病院でも 「公務員型」もあれば「非公務員型」もある。最終判断は設置団体にある。C「地方独立法人」に 移行する公務員は、地公法第28条4項の規定により、そのとき、その職場にいた職員はすべて 「地方独立法人」の職員となる。「非公務員型」の場合は公務員の身分を失う。拒否すれば分限 免職の対象となる。


3.5つの問題点

@経営効率追求のあまり住民サービスの後退・住民負担の拡大をもたらす危険が大
「地方独立行政法人法案」は、平成12年に政府が決定した「行政改革大綱」にもとづき、地方行財政改革を推進する手段として検討されてきたものです。
総務省が、「地方独立行政法人制度は公的な分野の受け皿である、実施部門のうち事務・事業の垂直的減量を推進する」と説明しているように、自治体業務を限りなく分社化・外部化・市場化する自治体リストラ推進の手段として位置づけられています。 
また、独立法人に移管した業務に対する公的責任は明確にされておらず、経営効率の追求が重視されるあまり、住民サービスの後退・住民負担の拡大をもたらす危険が大きい制度です。

A試験研究機関、公立大学など、自治体の殆ど全ての実施部門が独法化の対象に
法案では、独立法人化する部門について「民間の主体にゆだねる場合は必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるもの」とし、具体的には試験研究機関・公立大学の設置及び管理、地方公営企業法適用8事業(水道・工業水道・軌道・自動車運送・鉄道・病院・ガス・電気)、社会福祉事業、その他公共施設の設置及び管理と規定しています。
その他公共施設には保育所・図書館・公民館も含まれるなど、自治体の判断によって、自治体の殆ど全ての実施部門が独立行政法人化できるなど、住民福祉の増進を総合的に推進する責務を負う地方公共団体のあり方を大きく歪める制度です。

B住民参加・住民によるチェック機能が喪失
地方独立法人の設立は、設立団体(自治体)が50%以上出資する法人として自治体の議会で定款を定め、大臣及び都道府県知事の認可を受けて設置されます。
理事長や監事は、設立団体(自治体)の長の任命制となり、他の理事は理事長が任命することとなっており自治体の議会の関与はありません。
事業計画についても、3年から5年の中期計画は議会の議を経ることになっていますが、毎年度の事業計画等については設置団体の長に届けて公表するだけで議会の議決は規定されていません。また、情報の開示についても法案には義務規定はなく、住民監査請求などによる住民参加や住民によるチェック体制も規定されていません。
このように、独立行政法人は、設置団体の長(自治体の長)に権限が集中する一方、チェック機能としての議会の関与が形骸化され、さらに住民監査請求制度やオンブズマンの情報開示請求など、住民参加・住民によるチェック機能が喪失する危険性があります。
過去の「第三セクター」の失敗に見られるように議会や住民による監視の及ばない法人は、首長の独断先行を許し、あらたな腐敗の温床となるおそれがあるなど、住民参加・住民自治を基本とする「地方自治の本旨」を歪めかねない制度であるといえます。

C現職員は自動的に法人の職員に、「非公務員型」の法人の場合は公務員の身分を失う
独立行政法人には、公務員型と非公務員型の2つの制度を置くとしています。
この選択は設置団体の判断にゆだねられていますが、いずれの法人職員も理事長が任命することとなっていますが、法人設立時に該当職場に所属する公務員は、別に辞令を発せられない限り自動的に法人の職員となり、「非公務員型」の法人の場合は公務員の身分を失うこととなります。
また、独立行政法人の業績などを理由に法人が解散した場合は、当該法人の職員の身分も一切保障されないおそれがあります。
民間の労働契約は、使用者が一方的に使用者たる地位を譲渡することは許されないとされていますが、この法理からしても強制的ともいえる法人職員への身分移管や、公務員としての身分の喪失は許されないものです。

D賃金や労働条件が切り下げられるおそれ
公務員型の独立行政法人の職員は、地方公営企業労働関係法(地公労法)が適用され労働基本権が制約される一方、賃金や労働条件については「職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない」と「能力・成果主義」が第一に掲げられ、支給基準についても「公務員の給与を考慮する」とされているものの「独立法人の業績および中期計画の人件費見積も考慮して定める」と規定され、法人の「評価委員会」の評定結果等を口実に賃金や労働条件が切り下げられるおそれが大きいものです。
一方、非公務員型の職員は、労働組合法(労組法)が適用され、賃金・労働条件の決定は「社会一般の情勢に適合したもの」と規定され、「能力・成果主義」を前提に労使交渉によりゆだねられますが、法人の「評価」の結果や業績しだいで公務員型法人以上に賃下げ・改悪の可能性が大きいといえます。
公務員制度改革に関わって出されたILO「勧告」を踏まえ、地方独立行政法人の労働者の労働基本権のあり方を含めて検討がなされなければなりません。 


2003年6月3日

地方独立行政法人法案に対する附帯決議

衆議院総務委員会

  政府及び地方公共団体は、本法律の施行に当たり、次の事項について配意すべきである。

一 地方公共団体が地方独立行政法人を設立するか否かについては、あくまでも地方公共団
 体の自主的な判断を噂重すること。

二 地方独立行政法人化に当たっては、雇用問題、労働条件について配慮して対応するとと
 もに、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通を行うこと。

三 地方独立行政法人の業務の実績の評定に当たっては、財務面の評価のみならず、社会的
 評価の観点も加味して行うこと。

四 第三セクター一等の経営立て直しの手段として地方独立行政法人が選択されないようにす
 るとともに、その早急な抜本解決を促し、経営責任の明確化、清算の可否、民営化の是非
 などを厳しく精査検討すること。

五 公立大学法人の定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可に際しては、憲法が保
 障する学問の自由と大学自治を侵すことのないよう、大学の自主性、自律性が最大限発揮
しうる仕組みとすること。
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