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京都府職員労働組合
府政トピックス

[2003.6.26]

<討議資料>

府民の福祉を守る社会福祉事業団であり続けるために
―「京都府社会福祉事業団のあり方について」
の討議を呼びかけます―

2003年6月 京都府職員労働組合・京都府社会福祉事業団職員労働組合

京都府は、府立心身障害者福祉センター(城陽市)を開設する際、その運営を担当する社会福祉法人として1977年に「京都府社会福祉事業団」(以下「事業団」という。)を設立しました。
 その後、1980年代に入って、当時の林田府政は、自民党政府の進める臨調「行革」路線のもと、社会福祉施設の管理・運営の民間委託政策を積極的に推進し、「法律で設置を義務づけられている以外」の府立施設である洛南寮(養護老人ホーム、救護施設)、視力障害者福祉センター(視覚障害者更生施設)、桃山学園(知的障害児施設、児童養護施設)、向日が丘療育園(心身障害児母子通園施設)及び吉田母子寮(母子生活支援施設)を次々に事業団経営委託してきました。
 そうした攻撃のもとで、施設で働く労働者たちは、府職労に団結して京都府社会福祉事業団労働組合を組織し、施設で働くものの労働条件と施設利用者である府民の福祉水準の維持・向上の立場を統一して闘ってきました。職員に対しては「府職員に準じた給与水準」を確保し、府民に対しては、府直営当時からの「国の最低基準を上回る人員配置」による行き届いたサービス水準を基本的に確保してきました。
 今回の「社会福祉事業団のあり方検討委員会」の名による新たな攻撃は、府においては「京都府新しい行政推進大綱(第二次・1999)」や「外郭団体の見直し指針」(2003)によるものですが、全国的には小泉構造改革内閣がすすめる「民間でできることはすべて民間で」という行政責任の縮小・放棄路線の具体的な現れです。
 私たちは、憲法に定められているように、国や地方自治体には、つねに国民の社会保障権、生存権を積極的に向上させていく責務があると思います。
 府立の社会福祉施設をどのように発展させていくのか、事業団当局とあわせて京都府当局の責任が鋭く問われています。

はじめに


  京都府社会福祉事業団は、2003年3月末に、「京都府社会福祉事業団のあり方について−事業団の新たな役割と効率的な経営をめざして」と題した文書を発表しました。
  「はじめに」によれば、「各施設の現状と課題・問題点を抽出し、また、府との関係などについても、基本的な考え方をまとめ、あり方の方向性を明らかにした」ものとしています。いわゆる「提言」や「素案」ではない事業団としての意思決定ともみえる形式ですが、実態はなんら権限のない「検討委員会」での論議をとりまとめたものに過ぎず、その性格が極めて不明確です。(文書に記載された作成機関名が、「京都府社会福祉事業団あり方検討委員会」とあることから、私たちは便宜的に以下この文書を「検討委文書」と呼ぶこととします)
  京都府社会福祉事業団当局は、「検討委文書」を「職場議論」を経て「事業団としての方針としたい」と事業団労組に提示してきました。しかし、京都府社会福祉事業団のあり方を方向づけるにあたっては、形式的な議論をもって一方的に「方針」とするのではなく、必要な情報をすべて公開し、十分に時間をかけて、各々の現場ではたらく労働者や労働組合による徹底した民主的討論を保障するとともに、利用者・府民の声を十分に反映させることが必要だと考えます。
  私たちは、京都府社会福祉事業団の職場において、利用者のためのよりよいサービスの提供やそのための労働者が働きやすい職場づくりのための論議が巻き起こされることを歓迎します。しかし、この「検討委文書」については、次項以下述べるような重大な問題点を指摘せざるを得ません。私たちは、この「検討委文書」が、あたかも既定の大方針であるかのように取り扱われ、職場での自由な論議や、反対意見等が圧殺されることを懸念します。また、労使間の交渉事項である給与体系などに対して、「引き続き……具体的な経営改善計画を提案」として、土足で踏み込むような勝手な論議が進められることを見過ごすことはできません。
  現在、京都府社会福祉事業団の各職場で、「検討委文書」についての「職場議論」と「意見集約」がすすめられていますが、あらためて労働組合として「概括的」な問題指摘をするとともに、京都府の社会福祉行政や京都府社会福祉事業団のあり方、各々の施設の具体的なあり方について、該当職場や分会はもちろん関係者の幅広い討議を呼びかけるものです。

1 社会福祉及び事業団をめぐる情勢認識の問題点


 @ 社会福祉基礎構造改革に対する基本的視点の欠如
  「検討委文書」が意識している社会福祉の基礎構造改革路線について、私たちは、日本国憲法の規定する基本的人権としての社会福祉・社会保障をいっそう後退させるものと考えています。
  なぜなら、現在進行している各種システムの「改革」が、@公的責任の縮小である措置制度の廃止、A「契約」を媒体とした企業活動による市場世界の創設、B制度変更に伴う「受益者負担」の徹底であり、80年代以降政府与党によって脈々と続けられてきた「戦後政治の総決算」路線の延長線上というよりむしろ、その完成された形であるといえるからです。
 A 府財政の危機をどうとらえるか
  京都府の財政危機については、府民の側に責任があるのではなく、国追随の「開発」行政を押し進めた府当局にあります。財政危機を理由に、府民の福祉充実まで我慢を押し付けることがあってはなりません。
 B 脱施設化、施設福祉のあり方について
  福祉各分野で「在宅重視」が強調されるようになってきています。できる限り住み慣れた地域で普通の生活が送れるよう、支援していく立場は正しいことですが、介護保険下での「特別養護老人ホーム待機者○○人」と言われるように、「安上がり」のために施設整備を抑制する方針の押しつけは許されません。
  「検討委文書」のいう、「真に必要なものに限定……」の表現は、しばしば施設整備の遅れを糊塗するための方便として使われてきた経過があります。「必要とする人々すべてに十分な施設資源を提供」することが必要です。
 C 「民間でできることは民間に」の考え方について
  そもそも社会福祉の公共性・公的責任(※)が重視されなければなりません。民間でできない特色として、不採算部門の運営や立地条件の面でも、府民のニーズに積極的に応えるために配置するという立場が必要です。府立直営の施設を事業団委託するとき、かつて京都府当局が掲げた「公立の安定性と民間の柔軟性」をともに実現するという大前提はどうなったのでしょうか。
  むしろ、そのような特別に重要な意義と役割を有する京都府社会福祉事業団のあり方に対して、一律に「外郭団体」と規定して「見直し」を押し付けてきた京都府の「外郭団体の見直し指針」に対して、何ら反論や批判を行っていない点こそ問題です。
※地方自治法第一条の二  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
 D 「46通知の事実上廃止」について
  昨年8月21日の厚生労働省通知「社会福祉事業団の設立及び運営の基準の取扱いについて」(以下「改正46通知」)は、政府の「地方分権の推進」施策のもとでの地方自治法改正に基づくものであり、従来の「国の指導」から「技術的助言」化されたものです。国による規制は弱められたものの社会福祉事業団設立の根拠となっていた46通知の基本的な精神は生き続けています。「検討委文書」の言う「46通知の事実上廃止」は情勢認識に重大な誤解があるものと言わざるを得ません。
  また、「改正46通知」においても、事業団のあり方については、その専門性、先駆性を発揮して地域福祉の充実に努めると記されています。決して事業団の規模を縮小することとか、廃止の方向で検討することなどとは、一切書かれていません。むしろ事業団について、今後とも地域福祉の担い手としての役割を期待するとしているものです。

2 府民生活の利便等に関わる問題点


 @肢体不自由者更生施設の廃止
  「検討委文書」は、利用希望者が少ないことのみをもって「廃止」を提案しています。当該施設は京都市域の「京都市身体障害者リハビリテーションセンター」を除けば、府内では唯一の肢体障害者更生施設であり、府民に対する利用サービスの選択肢保障という立場を考えるなら、軽々な廃止方向は認められません。
  利用者が少ない原因は、立地や運営内容が原因ではないか、真剣な検証こそ求められます。
 A補装具製作施設の廃止
  「検討委文書」では、調整や装着指導・構成部品の検討などの重要な府民サービスが「点数化」されていず、毎年7百万円の収支不足を生じているから「廃止」との結論を導いています。
  「点数化」されていないなら、その分野は民間の参入できない「不採算部門」であることは明白であり、なおさら府立施設として存続設置が必要ではないでしょうか。
 B視力センターの「府の養成機関との再編」
  盲学校を再編の対象と想定していると考えられますが、主に先天的な失明者を対象とする教育施設である盲学校とは異なり、多くは成人後の中途失明者を対象としている視力障害者福祉センターについては、視覚障害者の更生施設として現在まで福祉的観点と教育的観点が統一された運営がなされてきました。当該施設は盲学校とは異なる独自の課題と使命を担っています。
  今後機能拡充の過程で、施設や設備の相互利用、職員の連携や交流等は考えられないことではありませんが、経費節減・縮小のための「再編」は認められません。

<「検討委文書」より抜粋>
◇各施設のあり方の方向性について(要約)




施設の名称 見直しの方向性 備考
心身障害者福祉センター
(身体障害者療護施設)
移譲を受けて民営化 事業団が府から移譲を受けて民営化を目指す。
心身障害者福祉センター
(肢体不自由者更生施設)
廃止 廃止後は、リハ病院の増床等の充実に向けて活用
心身障害者福祉センター
(補装具製作施設)
廃止
心身障害者福祉センター
(附属リハビリテーション病院)
統合再編などの中で決定されるもの 府立病院の統合再編などが検討される中で、改めて位置付けが見直され決定されるもの
洛南寮
(養護老人ホーム)
移譲を受けて民営化 事業団が府から移譲を受けて民営化を目指す。介護保険制度の見直しの中で位置付けが変更 される可能性もある。
洛南寮
(救護施設)
存続 府内唯一の救護施設として、最終的なセーフティネットの役割
吉田母子寮 婦人相談所との機能分担・見直しの中で 決定されるもの 建築後34年を経過しており、老朽化が激しいため、早期に改築されるべきである。
向日が丘療育園 こども発達支援センターヘと発展 総合通園センターとして法定の施設となるとともに、自閉症等広汎性発達障害児の府内療育の 拠点となる方向
視力障害者福祉センター 統合再編の検討又は存続 視力障害者の職業自立に貢献してきた実績は顕著であるが、府 の養成機関との再編が検討され る必要がある。
城陽勤労身休障害者教養文化体育館 府が雇用・能力開発機構からの譲渡を検討中 府南部障害者スポーツの拠点今後、府立施設としての位置付けでの受託が望ましい。
桃山学園
(知的障害児施設)
存続 強度行動障害児等の自立支援の府内拠点施設
桃山学園
(児童養護施設)
移譲を受けて民営化 事業団が府から移譲を受けて民営化を目指す。
総合社会福祉会館 存続 府内福祉活動団体の拠点施設の位置付けであり、現状存続
事業団本部 存続 経理機能の一元化など法人本部機能の強化や戦略本部としての 位置付けを持つ。


 C教養文化体育館の使用料
  「検討委文書」では、現在無料である「障害のある方の利用料金」について、京都市の同種施設との整合性も匂わせながら有料化の検討を打ち出しています。
  「障害者福祉施策の面から総合的に検討」としていますが、国や自治体全体として「受益者負担」強化の方向が強化されて来ている状況を勘案するとしても、相変わらず健常者層に比べて所得水準の低い障害者の文化・スポーツに参加する権利保障の観点が貫かれるべきです。
 D身体障害者療護施設、養護老人ホーム及び児童養護施設の民営化
  「検討委見解」が述べているように、「民間ではできない先駆的な研究開発機能、高度専門機能」を持つ施設が必要です。
  そうした機能は、措置費や支援費の枠が厳然として存在し、それを度外視しての経営は許されない「民間」では発揮することが不可能なため公立施設が受け持ってきましたし、今後も受け持って行かねばなりません。
  「検討委文書」は、これらの施設種別には先駆的な、研究開発機能、高度専門機能は必要ないとでも言いたいのでしょうか。
  また、重複の特別に重い障害程度で例外的な介護が必要、特別養護老人ホーム入所に相当する要介護度に該当しながら空き定数がないため「待機」している人、児童虐待などの複雑な養護背景を持ち十分な心理的ケアを必要とする子どもの緊急かつ不定期な保護なども「採算」や「効率」を考慮すれば「受け入れたくないケース」となるのではないでしょうか。

3 府職員、事業団職員の労働条件に対する姿勢の問題点


 @ 事業団職員の給与水準について
  「検討委文書」は、「給与体系が自治体に準じているため、柔軟な対応ができず、人件費が相対的に高い」と断じて、その引き下げを主張しています。
  そもそも公務員の賃金は地公法の規定により民間労働者の賃金水準に応じて人事院や人事委員会が勧告を行い、決定されるものであり、決して不当に「高い」ものではありません。社会的にも極めて重要な福祉労働に従事する職員が、その経験や技術、責任の重さに応じて「府職員に準じる」賃金水準を保障されるのは極めて当然です。
  なおかつ、事業団職員の賃金水準については、事業団当局と労組との間で、交渉で合意を得たうえで改定がなされてきたものですし、「府職員に準じる」と言ってもまだまだ格差も残っている点も否定できません。
  さらに、柔軟性については、委託開始時「公立の安定性と民間の柔軟性」を発揮できると約束したのは京都府当局です。出資者、委託者としての京都府当局の責任をあいまいにしたまま、「柔軟な対応ができず」とは本末転倒ではないでしょうか。
 A 民間で既に導入されている多種多様な雇用形態
  「検討委文書」は、民間で既に導入されている多種多様な雇用形態の導入が必要としています。行き着く先は、パート、臨時、アルバイトなどの不安定雇用層の際限のない拡大が予想されます。
  国が進めている「規制改革」のもとでは、雇用形態の概念で「長時間・短時間」の区分は存在しても、「常勤・非常勤」の概念は抹消されてしまいました。こまぎれ、寄せ集めでも各時間帯の「頭かず」さえそろえば最低基準違反ではないとの考え方です。
  このことは、労働者の労働条件の悪化だけではなく、対象者へのサービス水準の低下を招くものであり大きな問題点と指摘せざるを得ませんし、府民に質の高い福祉サービスを提供することにはなりません。
 B 委託経過や従前からの労使合意を無視した給与改革(経営収支シミュレーション)
  「検討委文書」は、@の考え方を前提として、いくつかの具体的な「改革」を打ち出し、それを前提にして経営収支の「シミュレーション」を展開しています。調整手当や特殊勤務手当の廃止などで最大2割の賃金削減を押しつけ、さらに「給与体系の大幅見直し」など、完全な労使事項である賃金、労働条件問題を、交渉を経ずして具体的に記述することは重大なルール違反です。

4 あり方検討の手続きに関わる諸問題


 @委員の構成について
  「検討委文書」の末尾に掲載されている検討委員会委員名簿によれば、検討委員会の委員は、そのほとんどが府派遣職員又はOB職員で占められている本部役職員・各施設長と、プロパー職員ではあるが主任クラス以上の職制で構成されています。
  職場の過半数を超える労働者を組織している事業団労組役員をはじめ現場労働者の代表は意識的に排除されています。
  いかにも、自由に議論を尽くしたかのようなポーズを取りながら、一定の路線に基づく考え方を押し付けようとするものと断じなければなりません。
 A審議内容の公開性
  検討委員会の会議は、そのすべてが傍聴を認めない非公開の形で進められてきましたし、各委員が発言する意見について職場での十分な議論を経ることや、審議内容の職場へのフィートバックなど民主的な手続きが組織的には全く保障されてきませんでした。
  審議されたのは、あくまでも委員個人の立場での意見であり、さらに、審議経過が公開されていないのですから、「検討委文書」が委員会審議のまとめなのかどうかさえ信憑性が定かではありません。
 B委員会での審議の範囲
  「検討委文書」は、「各施設の現状・問題点、府との関係」を論議したとしていますが、労使協議事項である賃金・労働条件に関わる事項にまで踏み込んだ具体的な内容を多く含んでいます。なおかつ、「はじめに」によると「引き続き、人事・給与体系をはじめ、組織体制や具体的な経営改善計画を提案」していくと述べています。
  このようなことは、事業団当局と労組との正常な関係を損なう重大なルール違反であると言わざるを得ません。
 C数字の信憑性
  各所に数値が盛り込まれているが、その根拠となる計算経過等が掲載されていないため、信憑性が定かではありません。少なくとも、関係職員に対して詳細な基礎数値や計算経過を明らかにすべきです。

5 「外郭団体の見直し指針」の問題点


  府職労は、この「見直し指針」に対して、以下の問題点を指摘しています。
  地域住民に対して社会福祉サービスを提供するために府立施設を設置し必要な職員が 配置されている社会福祉事業団の業務内容を「施設の管理運営」と規定していることは、 社会福祉事業に対する認識の欠如であり、二重の問題を含んでいます。


・個々の外郭団体の設立の目的や経過を無視し、画一的な方針の一方的な押しつけになっていること。
・団体を無理矢理、@京都府が担うべき公共サービスを京都府に代わって提供し又は公共サービスに準じたサービスを提供する団体(T行政遂行補完団体)と、A主たる業務が京都府施設の管理運営である団体(U京都府施設の管理運営団体)に分類してしまっていること。
・労使の事前協議事項である給与や労働条件の内容について、京都府の方針を個々の外郭団体に一方的に押し付けることは、労働法制上重大な問題であること。
・T類型は市町村の職員と同程度の水準、Uは類型は民間企業の給与制度や水準を参考とするようなことは何の科学的根拠もないこと。


6 まとめ


  事業団のあり方の検討・改善については、従来から私たちも数々の要求をしてきた経過があります。「検討委文書」に触れられている利用者本位の施設づくり、情報公開の推進等については、府民福祉の向上と福祉労働者の地位と労働条件改善の立場を堅持しながら、積極的に受けとめたいと考えます。
  また、外部評価制度の導入については、府民による民主的なチェック機能は必要性ですが、「外部評価」が「府民福祉の総合的な担い手」という重要な任務を無視して、さきの包括外部監査結果のように経営効率や採算性ばかりに着目したリストラの口実にされないよう十分な注意が必要と考えます。
  「検討委文書」が述べている、京都府社会福祉事業団の職場を最終的に「どうしたいのか」については、明るいビジョンや積極的な発展方向は見えてこず、残念なことに、人件費の大幅見直し、不採算部門の切り捨て等ばかりがクローズアップされてくる結果となっています。これは、事業団に働く職員のみならず、京都府の福祉施策に期待を寄せる多くの府民を大きく失望させるものです。
  同時に、委託元の「京都府財政の危機」や、小泉内閣が推し進める公的責任を後退させ、福祉の産業化、資本の利潤追求のための新たな市場として作りかえる社会福祉の「改革」方針に、無批判に追随する方向には、明確な反対の意思を表明したいと考えます。

(1)府からの派遣職員問題
 府内部の人事異動における一つの異動ポストのように扱い、福祉事業に精通せず、短期間に異動し、事業団のことより府の顔色ばかりをうかがうような一部管理職員配置がされ続けてきたことはまさに百害あって一理なしです。このことによって、事業団内部の人材を育成することに対しても重大な悪影響を与えてきました。
 ただ、事業団設立以前から当該職場に所属している専門職たる府職員に対して、「派遣職員」として一括論議することは、その意義や過去からの経過を否定することにつながるので許されません。
(2)経済性重視に偏った施設運営
 給与格付けが高い管理職員等への派遣職員の配置や、「天下り先」扱いの府OB職員の採用などの問題指摘は、府職労こそがかねてから改善を求めてきた事項であり原則的に歓迎するものです。
 ただ、経済性・効率性のみを強調するあまり、民主、公開、府民本位などが忘れ去られはしないか危惧を抱くものです。
(3)先駆的な研究開発機能、高度専門機能への特化
 府立の施設である以上、民間ではできない先駆的な研究開発機能、高度専門機能を併せ持つことが必要であることは当然ですし、このことを一貫して主張してきたのは労働組合側です。
 しかし、府民ニーズを無視しての特定研究開発目的のみへの「特化」については認められるものではありません。。
 また、これまでのやり方を振り返ってみれば、各施設について建て替えや新築移転の際には一定の予算を確保して立派な建物や新規施策を整備しますが、その後は「現状維持」分の予算措置しか確保されず、結果的には「旧態依然」の状況が生み出されてきました。
 京都府と事業団当局の企画・経営責任が問われなければなりません。
(4)給食業務等の外部委託促進
 施設生活では、生活のすべての部面について総合的に保障していくことが必要であり、介護や生活指導という分野に加えて、衣・食・住が重要な部分を占めることはいうまでもありません。
 再委託は、受託業者に利潤を生み出すものであり、同一の予算で実施するとするなら、それだけ給食の質の低下(処遇の低下)につながるものです。ましてや、大規模な施設を幾つも受託している京都府社会福祉事業団であれば、一括発注・一括購入のいわゆるスケールメリットは、十分に発揮できるものと思われます。
 民間の一部で採り入れられている方法ではありますが、効果の疑わしい効率性のみが理由であり反対です。
(5)府立施設の事業団への譲渡
 府立施設の存廃に関わる問題では、さすがに京都府の基本姿勢に係る事項なので、京都府への「提案」とはしているものの、府立施設の事業団への譲渡を打ち出しています。また、「京都府が引き続き運営を継続せざるを得ない施設で、他の社会福祉法人等での引き受けが困難な施設」のみ受託していくとの方向を示しています。さらに、具体的な各施設の色分けまで提案しています。
 府立施設の設置改廃は条例事項であり、府民・利用者の広範な意見を聞いたうえで、府議会において最終的に決定されるべきものであり「検討委文書」で軽々に論議、提案することは許されることではありません。
(6)給与、労働条件について
 労使合意を無視した経営の「大胆な改善」については、労使事項であり、労働組合法の規定を適用される事業団職場においては労使の交渉で合意を得ることが前提であることははっきりしています。
 たとえ、立場の不明確な「検討委文書」であるとしても、あたかも不可避な既定の方向であるかのように描き、現場職員・組合員に押し付けようとすることは絶対に認められるものではありません。
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