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見えてこない「本庁の再編」の意味
職員の英知の結集こそ大切では

 府民にとってメリットあるの?

 京都府当局が9月府議会で明らかにした「本庁組織の再編に係る検討状況について」(以下、「本庁組織再編案」という)について、職場からは「再編の必要性がよく分からない」「そもそも府民にとってどんなメリットがあるのか」「結局は定数削減をねらいとしたものではないのか」との声が聞かれます。そして、地方機関の職場からも「どう波及するのか」との不安の声が広がっています。

職場での疑問にまともに答えられない当局

 職場からは、「説明が不十分な『本庁組織再編案』を示す一方で、職員には機械的に自己申告書の提出を求めるとは、どういうことか?」との声があがっています。
 執務室との関係でも「『本庁組織再編案』との係わりで1号館の4階に健康福祉部のすべての室が入るという話を伝え聞いたが、いいかげんにしてほしい。私の室は毎年、棟を行ったり来たりか」などの声も出ています。
 「本庁組織再編案」は、外部委員も含めた「組織のあり方研究会」での5回の検討が土台になっていますが、今回の提案内容に職場からの意見がどれだけ反映されたかが不透明です。
 というのも、この間おこなわれた職場説明では、部当局や所属長の多くが、たとえば「9部制を8部制にというが、どう変わるのか」という疑問にさえ、まともに答えられない状況が相次いでいるからです。このことは、「本庁組織再編案」が職場から積み上げたものでなく、トップダウンですすめられたことを示しています。

文化環境部、商工労働観光部っていったい…

 「本庁組織再編案」で示された部の編成案についても職場からは、「文化と環境はどう関連するのか?同じ部にする意味はどこにあるのか?」「商工労働観光部とはまた、すごいネーミングだ」などの声があがっています。
 編成案は、企画と実施部門を分けていますが、これにはトップダウンでの業務執行を危惧する声が聞かれます。また、労働と商工を同じ部とすることには、産業振興を優先にするあまり、労働者保護がおろそかになるのではと危惧する声も聞かれます。
 総じて、「よく意味が分からない」との声が大半です。部の設置条例案については12月議会に提案される可能性が高いもとで、当局には、より具体的な説明が求められています。


地方機関再編の点検、検討は済んでるの?

 「本庁組織再編案」については、地方機関の職員からも「どう波及するのか」との不安の声と、「仮に本庁組織とのねじれでも生じたら、たまらない」との声があがっています。さらに「そもそも地方機関再編の総括は済んでいるのか」との疑問の声があがっています。
 ある地域総務室長は、「現時点での個人的な見通し」と断ったうえで、「来年度の段階では4つの広域振興局とも基本的には組織の変更は無いのではないか」と語ったといいます。
 地方機関再編が行われたのは、4数年前。府民の安全とくらしを守る第一線の組織である振興局、保健所、土木事務所、農業改良普及センターが機能強化」の名のもとに減らされました。
 ある保健所の福祉室に働く職員は、「個々の守備範囲が拡大するなか、業務の複雑化と電子化もあって十分な窓口対応ができない。さらに1人担当のため相談する人がいないなどの困難がある。市町への広域的支援も含め人員確保が大きな課題となっている」と語ります。
 3年前の台風23号災害時が象徴的だったように、安心・安全・くらしを支える地方機関が再編されたことで、管内が広域になり市町村や府民から遠くなったことが、地域格差を広げています。また、職員に遠距離通勤と長時間出張を強いるなど労働条件の点からも再編後の調査や点検が求められていますが、今回の「本庁組織再編案」では、その点が不透明です。


フラット化・グループ制の問題点は解消されたの?

 「本庁組織再編案」について職場からは、「えっ、結局はフラット化・グループ制でいくのか」との驚きの声もあがっています。「定数減を図るためには、はじめにフラット化・グループ制ありきか」との声まで聞こえます。
 「責任の所在が個人にかかり、精神的にも肉体的にも追いつめられる」「自分自身がギスギスしてきそうでイヤ。嫌悪感しか感じない」。これらはフラット化・グループ制が導入されている職場からの声です。 フラット化・グループ制については、この間、▽組織的な職場運営を阻害する、▽職員の労働条件を悪化させる、▽精神的に過度の負担を招くなど多くの問題点が指摘されてきましたが、これらの点について「本庁組織再編案」は何ら答えていません。


交渉を軸にとりくみ

 いま、貧困と格差が拡大し、地域の崩壊が深刻化しているもとで、京都府の組織の役割とあり方が問われています。府職労は、本庁組織のあり方について職場討議資料を作成し要求書を基に交渉を通じて庁舎問題はじめ労働条件などの改善をめざします。


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