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子どもの医療費助成の拡充など府民の要求が実現
170人の職員削減

 京都府はT月29日、一般会計8210億1100万円、特別会計と公営企業会計を合わせて総額1兆1012億3800万円の2007年度当初予算案を発表しました。
 前年度(知事選後の6月補正後)一般会計予算比で0・8%増となっていますが、職員の退職手当の増加分を除くと、実質六年連続のマイナス予算(99・4%)となっています。
 府民の大きな要求運動が府政を動かし、子どもの医療費助成制度の拡充などを実現する予算が組まれた一方、京都高速道路や舞鶴和田埠頭など批判の多い大型公共事業も引き続きすすめる予算になっています。
 予算編成の根本には「経営改革プランの推進」方針があり、「集中と選択」による施策の見直しや削減理由が示されないままでの、170人の職員削減も盛り込まれています。

歳入の特徴

 歳入では、府税収入が二6・5%増の3360億円と大幅に伸びていますが、これは、海外輸出型産業などの景気回復による法人税の伸びを中心とした増加分303億円の他、三位一体改革により国庫支出金の廃止の税源移譲分402億円が含まれています。
 一方、地方交付税は、1430億円と前年度に比べ、マイナス72億円、臨時財政対策債を含めると100億円減っています。07年度政府予算案では地方交付税は、全国で7000億円削減されています。

政府三位一体改革の影響

 04年度から06年度の3年間の「三位一体の改革」により全国で、約4兆7000億円の国庫補助負担金の廃止・縮減(地方への税源移譲は約3兆円)が行われ、さらに地方交付税の改革として約5兆1000億円の大幅な削減が行われました。全国ベースでは3兆3000億円もの犠牲が地方に押しつけられました。京都府は「三位一体改革」の府への影響を府民にわかりやすく説明するべきです。
 07年度からは、人口と面積で算定する新型交付税が交付税総額の10%程度導入されています。将来この割合が拡大されることになっており、都市と地方の間での格差の拡大が懸念されます。同時に地方分権推進法によって福祉や教育に対する国の責任が縮小、形骸化されるとともに、地方交付税の財源保障機能が減らされていくことが危惧されます。将来的には、総務省が、不交付団体の目標を自治体数の40%としていることもおおいに問題があります。

歳出の主な特徴

 歳出では、民生費、教育費、警察費が前年度を大きく上回りました。民生費は福祉関係予算の自然増に加え、介護保険・自立支援費関係の予算が増加しています。教育費は、退職手当の増加、府立学校施設整備費の増加など、警察費は警察官70名の増員などによるものです。
 一方、土木費、農林水産業費は、公共事業が大幅に減少したことにより、減少しています。

大きく実った要求運動

 府民の大きな運動が京都府を動かし、切実な要求を反映させる予算になりました。

@子どもの医療費助成制度の拡充(13・9億円)
 「京都子育て支援医療助成費」として、9月診療分から、親の所得制限無しで入院は、就学前から中学校入学前まで引き上げられ、通院は、一部負担金が8000円/月から3000円/月に、引き下げられることになりました。

A医師確保対策費(6・3億円)
 地方での医師不足が深刻化する中、医師バンクの充実(5・3億円)や奨学金制度の拡充など若手医師の育成に本腰を上げた予算が組まれました。

B児童虐待対応強化事業費(1・2億円)
 昨年のような痛ましい事件を二度と起こさないため、児童相談所や保健所に12名の職員増、虐待相談ITシステム導入経費などが予算に盛り込まれました。今後実のあるものにしていくために、関係職場や関係者の意見を積極的に採り入れることが、京都府に求められます。

C障害者自立支援法関係の予算(88・4億円)
 障害者の自立を妨げる「障害者自立支援法」施行からわずか一年で、あまりの悪法を国も見直さざるを得なくなりました。介護保険の利用者負担の軽減(10%↓2・5%)や、在宅福祉サービス利用の自己負担額の軽減が国制度として実施されますが、それに府として独自の所得階層を設定することで、負担の軽減をしています。また、障害者の地域生活移行等への支援、施設経営、新体系移行への支援などを目的とした基金の都道府県への新設(12・2億円)などもスタートします。


D障害者自立支援医療特別対策費(一七〇〇万円)
 在宅酸素療法患者・呼吸器障害患者に対する医療費助成制度が新設されます。E京都ジョブパーク(三・一億円)
 これまで若者を対象にしていたジョブカフェを、ハローワークと連携し、企業など各団体から運営費の拠出を得て、就業支援の対象を女性や中高年者、障害者にも広げました。
F木造住宅耐震改修助成事業費(二五〇〇万円)
 法改正で、耐震改修促進計画の策定が自治体に義務づけられ、耐震改修工事への助成が全国的にスタートします。これまで京都府は住宅改修助成制度をの要求をはねつけてきましたが、住宅密集市街地における木造住宅(昭和五六年五月三一日以前に着工した二四〇平方メートル以下の木造住宅)への助成に道が開かれました。今後、仕事おこしや地域経済活性化につながる幅広い住宅改修助成制度につなげていくことが求められます。


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