府民の暮らしからみた06年度京都府当初予算

京都府職労の分析パートB

(3)府民の願いには背を向けたまま

 子どもの医療費助成の拡充、小中学校の30人学級、住宅改修助成など、府民の切実な願いには背を向けたままです。子どもの医療費助成制度はすでに東京都や栃木県で就学前間で通院も入院も無料になっています。京都府は通院が8000円を超えた分となっており、償還払いのため、京都市内での利用者は10数%にしかすぎません。小中学校の30入学級は学習効果が上がることが現場で実証されているにもかかわらず、京都府は独自の「京都式少人数学級」に固執しています。住宅改修助成は、すでに実施している市町で、大きな経済波及効果を生んでいます。
 
@集中と選択による施策の見直しで250事業、55億円の削減
 府は、主な事業見直し一覧(廃止・休止)で、45件、13億1600万円の廃止・休止事業を、主な事業見直し一覧(削減)で、37件、3億3500万円の削減事業を明らかにしていますが、55億円からすればごく一部です。また、経常経費2割カット方針により、ほぼすべての事務事業が前年比減となっています。一方で、わずか50万ですが、子育てを積極的にサポートしている企業の表彰を知事の一言で予算化しました。「財政が苦しいときに、知事のパフォーマンスにすぎない」という声が、職場から出ています。
A公共事業費は大特に演らすが、大型プロジェクトにはメスを入れず
 普通建設事業費は対前年比78.2%の890億円です。バブル経済崩壊以降、国の総合経済対策に従って、借金をしながら、公共事業費を大幅に増やし、ピーク時の95年には、2418億円にまで達しました。ピーク時に比べると36・8%まで落ち込みましたが、ムダと環境破壊の大型プロジェ外は温存しています。京都高速道路関係に20億300万円、舞鶴港和田ふ頭建設に7億8800万円、関空2期工事に3500万円出資、府立丹後海と星の見える丘公園に1億1800万円、学研都市建設に11億4000万円を計上しています。そのため、河川改修などの治水対策や生活道路整備などの生活基盤整備や道路改修などの予算にしわ寄せがされています。
 
B企業立地補助金は大幅に増額
 京都産業立地戦略21特別対策事業に7億5000万円(05年度6億円)を計上しています。1社最高20億円(05年度は5億円)の補助金や税金の優遇で、企業誘致を進めています。京都府は、地域経済への波及効果や雇用効果など、府民に対する説明責任を果たすべきです。


C医師確保困難地域対策(4000万円)
 舞鶴市民病院を縮小した上で民営化する方針発表や弥栄病院の産科閉鎖など、ますます深刻化する府北部の医師確保に向け、遅きに失した感はありますが、府立医大に後期専攻医過程の増員(10人)、医師バンクの創設が、予算案に盛り込まれました。
 
D発達障害児支援のための教員配置(2・2億円)
 LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)等の発達障害児童に対し、教員OBや大学院生等を非常勤講師として配置する予算を組みました。

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