シリーズ自治体再編

「国と勝負する」と

大見得をきる

知事もいるが


シリーズD 道州制 そのU

府県としての主体性の発揮を


政府や財界からの圧力に流されてばかりでは…


「10年後にわが県はありません」(静岡県)

 「10年後にわが県はありません。国へ行きたい人は国へ、市へ行きたい人は市へ行って下さい」これは、今年4月の辞令交付式で、新規採用職員を前にして静岡県の石川知事が語ったあいさつの一端です。
 現在、人口380万人の静岡県内では、03年4月に清水市との合併で人口70万人となった新・静岡市が05年4月からの政令指定都市への移行をめざす一方、人口60万人の浜松市も近い将来での政令市移行へむけ準備を進めつつあります。
 こうしたもとで静岡県は、国が呼びかけた地域再生構想の提案募集に応じる形で、04年2月に「都道府県を再編し、理想的な地方自治を実現します」を副題とする「静岡政令県構想」を提案しました。
 「道(州制)」に至る第一歩、あるいは都道府県の再編の第一歩として、「地方出先機関で実施している事務を中心とした権限を必要な人材、財源とともに国から静岡県に移譲」することを中心的な内容としています。


道州制特区めざす(北海道)

 道州制特区構想の目玉とされていた国の開発局、経済産業局と道との先行統合の雲行きが怪しくなっていますが、小泉首相の肝いりで100億円×4年間の道州制モデル事業推進費が措置されることとなる「道州制特区」をめざす北海道。年頭会見で高橋知事が今年を「道州制元年」と位置づけ、「国と勝負する」と大見得を切りました。

民間丸投げで調査研究に着手(京都府)

 京都府はこの5月、「これからの広域制度に関する調査研究」を実施することを明らかにしました。メンバーには、府職員も何人か参加するようですが、「3人の有識者アドバイザーからの意見聴取や、当研究に必要な基礎データの収集、整理分析、加工等の業務については、専門的ノウハウを有する業者に委託する」とされており、肝心の中身の検討を事実上、民間業者に丸投げする、京都府の主体性を放棄するものとなっています。
 道州制の最大のねらいは、財界本意の国づくりにあります。政府や財界からの圧力によって自治体としての主体性をなくしてしまっては元も子もありません。何よりも府民のくらしを守るとの基本的立場にたった主体性の発揮、そこに働く職員の専門性に依拠した英知の結集が求められているのではないでしょうか。

※ 地域再生(本部)↓03年10月、「地域経済の活性化と地域雇用の創造を、地域の視点から積極的かつ総合的に推進するため」、内閣に設置することが閣議決定された。本部長は内閣総理大臣。同年12月に決定された「地域再生推進のための基本指針」では、「『官から民へ』という構造改革の流れをより強化」「自助と自立の精神」「知恵と工夫の競争による活性化」などがその意義・目的として強調されている。

 
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