シリーズ自治体再編

公務を民間へ丸投げ、図書館が有料になる?

シリーズC 指定管理者制度

住民との共同で安易な市場開放を許さないとりくみを

 府立体育館が民間委託

 府立体育館の管理運営がシンコースポーツに委託されることが決定。ただし、府は府でも大阪府でのことです。
 地方自治法が一部改正(03年9月2日施行)され、従来の「管理委託制度」に代わって「指定管理者制度」が導入されて以来、保育所、公民館、図書館、博物館、市民会館、勤労会館、公園、病院などが、この制度によって「民営化」されようとしています。

 とんでもない利用者負担の危険

 これまでの「管理委託制度」は、公的サービスは「住民だれもが等しく必要なサービスを安価・低廉な利用料で受けられる」ものとの考え方から「公の施設管理」について一定の期限付き委託でした。
 それが「指定管理者制度」によって利潤追求の民間事業者に管理代行させる、ことばを変えれば丸投げされることが可能になります。
 図書館が有料になり、個別法での規制撤去を前提にして教室使用料の徴収、開放グラウンドの有料化など、とんでもない住民・利用者負担が生じる危険があります。

 雇用不安にも直結

 本来、行政が行うべき公の施設の利用許可の権限も指定管理者に委託され、利潤の上乗せで利用料金は一定の範囲の中で自由に設定され、使用料は管理者の収入となります。
 利用の際に管理者の恣意的な制限がされたり、本来の趣旨ではないことに使用されていくことにもなりかねません。
 民間事業者への管理移行に伴って、職員解雇の危険も生じます。

 
「公の施設」は住民のもの

 京都府は、03年3月に公表した「外郭団体の見直し指針」の中で、社会福祉事業団などについて04年度中に運営等に関する見直し案の策定を指示。
 03年11月には事業団本部が、「経営改善基本計画案(経営ビジョン)」を発表しましたが、指定管理者制度への移行を見据え、府からの財政支援に依存しない「自立した経営」をめざすとして、職員の給与削減、不採算部門の廃止など徹底した合理化をめざす内容となっています。
 「建物も財産だろうが、人も財産」。3月28日に府職労が主催した「指定管理者制度を考える学習交流会」の中で、社会福祉事業団労組のとりくみを報告された金盛書記長が語ったことばです。
 人も含めた「公の施設」は住民のもの(財産)です。私的な企業の利潤追求の施設であってはなりません。
 「公の施設」がはたしている意義と役割、公共性と住民の利用権、そこで働く労働者の専門性などをとらえ直して、住民との共同で安易な市場開放を許さないとりくみが求められています。

※「(学習討議資料)公務を民間に丸投げする『公の施設の指定管理者制度』にどうたち向かうか」(04年1月府職労発行)を参照ください。

■シリーズD