シリーズ自治体再編

自治体と公務職場の変質の動きにどう立ち向かうか



 いま全国の自治体の職場では、小泉「構造改革」路線のもと、自治体の変質、公務職場の解体が狙われています。構造改革「特区」、地方独立行政法人、指定管理者制度を使った民営化や企業参入、財政やその枠組みからも三位一体改革や市町村合併、道州制の導入検討など自治体のすべての分野で全面的な「再編」がすすめられつつあり、「自治体リストラ」は量的・質的に新たな段階に入っています。
 国の動きにあわせ、京都府においても「京都府行財政改革指針〜かいかくナビ」の具体化という形で進められつつあります。当シリーズでは、テーマごとに全国の自治体における特徴的な事例を紹介しながら、京都府における動きを検証します。

シリーズ@

三位一体改革と04年度京都府予算


 「これでは予算が組めない」

 あいつぐ地方からの悲鳴 「国は福祉や教育に使いやすい交付税を減らし、公共事業のひも付き補助金を温存する。三位一体改革は、まやかしだ」(1/21付、田中・長野県知事)。
 各自治体における04年度予算編成作業は、国から配分される地方交付税が臨時財政対策債と合わせ、前年度より実質2兆9千億円、率にして12%もの減となることが突然に明らかになったことから、大多数の自治体は大幅な財源不足が見込まれ、厳しい作業を迫られています。
 当初、三位一体改革の初年度にむけては「『半歩前進』と評価している」(自治労連との懇談の場での全国知事会事務局)としていた地方側からも、抜き打ち的な地方交付税削減に批判が噴出しています。
 自治労連はこの間、地方財政危機打開へむけて地方6団体への申し入れをとりくみましたが、「要請趣旨にはまったく同感だ。これでは予算が組めないと、各自治体からいろいろと要請がきている。地方の赤字を問題にする政府や財務省の姿勢には怒りを覚える」(全国町村会)などの声が寄せられています。
 「国は一方で地方単独事業は削減しないように求めている。その差を(地方に)借金で埋めさせ、公共事業の総額は減らさないようにというのは都合のいい話ではないか」(1/24付「京都」)。山田・京都府知事の発言です。
 04年度京都府予算の編成において、新たな地方交付税300億円の削減で、京都府の収支不足は当初の360億円から660億円に拡大。乗り切り策として、「逆境の中でのやりくり」(山田・京都府知事)を行ったとしています(※04年度京都府予算の概要については、2月26日付「府職新聞・04年度京都府予算案特集号」を参照ください)。


 結局は府民や職員へのツケ回し

 一見すると、図式は「悪役・財務省vs総務省及び知事会をはじめとする地方6団体」というようにも見えますが、総務省が昨年末に発表した文書や、この間の国会での答弁からは、地方交付税等が激減し深刻な影響を及ぼすことを「分かっていたかといえば、分かっていた」(麻生総務相)ことが明らかとなっています。
 一方、京都府当局は深刻な収支不足を理由として、今秋にも「新たな健全化計画」を策定するとし、その柱を@さらなる職員定数の見直しA業務改革の推進による運営コストの圧縮B外郭団体等の廃止・経営改善の推進C民間委託の推進D選択と集中による施策の見直しとしており、「かいかくナビ」のいっそうの推進を打ち出しています。
 加えて、2月17日に京都府がよびかけて開催された「緊急財政対策会議」では、府内44市町村の財政担当者らを前に総務部長が、「さらなる内部改革やコスト見直しを図るため、情報交換を進めたい」(2/18付「読売」)、「市町村も中期的な財政見通しを提示する必要がある」(2/18付「京都」)と呼びかけました。
 これではまるで、国から地方への借金のツケ回しを、さらに府民や職員に押しつけようとする役割を府が果そうとしていると言ったら、言い過ぎでしょうか。


「気骨ある」自治体の姿勢に学ぶべき

 地方交付税の削減反対、税源委譲など財政確立のための国にむけたとりくみがいっそう重要になっています。
 国や県の「指導」によって撤回することにはなりましたが、「改革の無理さ加減を国に知らしめ、一方で財政の現状を市民に知ってもらうため」として、一般会計に赤字を計上する異例の来年度予算案を発表した沖縄県平良市の例もあります。
 「闘う知事会」の一員として、全国縦断シンポジウムの開催もけっこうですが、こうした「気骨ある」自治体の姿勢にも学ぶ必要があるのではないでしょうか。
■シリーズAへ