エッ!府民を戦争に動員?

京都府が「危機管理監」を新設

陸上自衛隊・府警本部・京都市消防局からスタッフ

鳥インフルエンザのため

 知事は4月16日の記者会見で、鳥インフルエンザなどの感染症や大規模災害、テロ、有事などの緊急事態にすばやく対処するため、指揮・命令系統を一元化した知事直轄の「危機管理監」の新設を明らかにしました。
 「危機管理監」の下に、防衛計画立案や実践部隊指揮の経験がある陸上自衛隊の一等陸佐を3年の期限付きで充てること、京都市消防局の消防正監を専任の「防災監」として置くこと、「安心・安全まちづくり推進室」を新設して府警警視を参事(併任)に起用することも明らかにしました。

「何か」が起こったとき…

 昨年10月、鳥取県・内閣官房・消防庁主催で「その時、われわれ地方自治体は…国民保護法と地方自治体の準備」をテーマに「第1回国民保護フォーラム」が開催されました。報告書(下)をみてビックリしました。
 「白兎海岸で不審船発見。A国の特殊部隊が県内の山中に潜伏、京阪神地区への武力攻撃の危険が切迫」という設定のもと、「武力攻撃災害」から住民をどう避難誘導させるか、県国民保護対策本部のやりとりが実にリアルにシュミレートされています。
 「午前8時10分現在、職員の参集状況は90%」「県庁の組織を有事の体制にすべて移行」「自衛隊は国道○○を利用して潜入した敵を排除」「前線へ出動する自衛隊の部隊と避難する住民の車両が交錯しないよう交通規制」。
 まるで戦争ごっこのようなシナリオの展開。登場人物は、県国民保護対策本部長(知事)、防災監、自衛隊連絡幹部、警察本部長、各部局長です。

「危機管理」の名のもとに

 これでわかるように、今回新設される「危機管理監」の主な業務は、感染症や災害対策よりも今の国会に提出されている「国民保護法」などの有事関連7法案に基づき、国民を強引に戦争に動員するための地方自治体の対応・あり方を検討するためのものと考えられます。
 もちろん、日本に対するテロ予告があったり、SARSや鳥インフルエンザなど感染症の拡大や凶悪な犯罪も増加しているワケですから、地方自治体として「危機管理」を強め、住民の「安心・安全」を確保することは大切なことです。
 しかし、そのことと、今、自衛隊のイラク派兵や憲法9条改悪など、日本政府が進める戦争国家づくりに、地方自治体が無批判に追随することとは違うはずです。戦争は突然やってこない、ヒタヒタとやってくると言われています。京都府の組織にキナ臭いものを感じます。

一番の「危機管理」は…

 地方自治体として、住民の「安心・安全」を守る一番の方向は、住民を「戦争にまきこまない」ことです。そのためには、日本や世界の平和に「害あって利なし」の自衛隊のイラク派兵をやめ、憲法の平和原則を守り真の国際貢献をするよう、政府にハッキリものを言う知事、自治体であるべきではないでしょうか。
                               府職労の当局への申し入れ