国民を戦争に協力させる有事関連法案を先取りした

現職自衛官の採用中止を求める申し入れ

        府職労が京都府当局に申し入れ

 6日の知事の記者会見で、鳥インフルエンザなどの感染症やテロ、有事などの緊急事態に素早く対処するため、指揮・命令系統を一元化した知事直轄の「危機管理監」を新設するとともに、「危機管理監」のもとに危機管理担当の参事を置き、陸上自衛隊員を3年の期限付きで充てることを明らかにされました。現在、自衛官を常勤で採用している都道府県は東京、神奈川など9都県、京都は10番目に当たり近畿ではただひとつです。
京都府はこれまでも、鳥インフルエンザやSARSなどの感染対策、日本海での重油流出事故などの災害対策には組織をあげて対応してきました。私たちは、府民の「安心・安全」を確保することは重要な課題であり、今後もこうした防災体制を強化することは必要と考えます。
しかし、今回の「危機管理監」の新設は、知事がいみじくも語るように「テロ、有事などの緊急事態」への対応にこそ主たる目的があると言わざるをえません。そのことは、京都府自身が「防衛計画立案や実践部隊指揮の経験のある陸上自衛隊の一等陸佐を採用する」としていることからも明らかです。
 こうした自衛官の採用は、今国会で審議されている「国民保護法案」など有事関連7法案を先取りし、府民を強引にアメリカの引き起こす戦争に協力させることを検討するためのものであり、とうてい認められるものではありません。
 今、国会で審議されている有事関連7法案は、都道府県に対して様々なことを義務づけています。たとえば「国民保護法案」では、戦争対処の「基本指針」を政府が決め、それにもとづいて都道府県は首相の助言を得てこれに協力する計画と組織(対策本部)をつくらなければなりません。また、自衛隊から派遣された幹部と京都府の関係部長や教育長などが加わった「国民保護協会」を平時から設け、戦争協力の施策を協議したり、「計画」にもとづいて住民参加の日常的な訓練を行わなければならないとしています。このように、有事への対応として、都道府県が戦争協力の下請機関としてあらゆる面で動員されることになります。
今、住民の「安心・安全」を守る自治体が果たさなければならない役割は、政府がすすめる戦争国家づくりに協力することではなく、ましてや先取りすることではありません。憲法の平和原則を守り9条の精神を生かして、住民が戦争に巻き込まれないように力を尽くすことであり、その立場から政府に対してキッチリ発言していくことです。
私たちは、既に4月22日付けで「2004年組織・定数に関する基本的態度と要求申し入れ」を提出して自衛官採用の中止を申し入れましたが、改めて次のことを申し入れますので誠意ある対応を求めます。



1 現在国会で審議中の有事関連7法案の先取りともいえる自衛官の採用は中止すること。
2 戦争協力のための危機管理体制の検討でなく、府民が戦争に巻き込まれないよう憲法 の平和原則を守り9条の精神を生かすよう政府に対して発言すること。