洛東病院のを消すな

リハビリ医療で生きる希望をくれた

患者さんや家族の人たちがすすんで署名活動

 洛東病院の『廃止』という拙速な結論が出されようとしています。9月7日には「府民の集い」が行われ、台風にもかかわらず会場は超満員の130人が参加。廃止にストップをかけ、リハビリ施策の確立を求める切実な声が寄せられました。

  前頭葉の梗塞からリハビリで希望が
 
 「弟は姫路で前頭葉の梗塞で、医師からは回復しないと宣告されました。2ヶ月たって何とか意識が戻り、知人の知り合いで洛東病院を紹介され、すがるような思いできました。医師からは同じように宣告されましたが、看護師さんたちの丁寧な指導でリハビリをうけ、勇気づけられました。指導の先生からは『あせらんでもいい、本人の体に合わせてやるのがリハビリ、迷いながらゆっくりでいいよ』といわれ励みになり、いまでは共同作業所で働くまでになりました」。洛東病院で生きる勇気と希望をもらったという藤原さんは、9月7日の「廃止にストップ、リハビリ施策の確立を求める府民の集い」で淡々と語ってくれました。
 発病や事故で一生寝たきりになって家族の世話を受けるのか、せめて車椅子で移動でき自分で生活ができるように回復するのか、人生の大きながけっぷち。リハビリに通う患者さんたちの思いは、「洛東病院に寄せる一言」にもぎっしり詰まっています。

  リハビリは生きる願いをつなぐもの

 「一人で食事ができる、服が一人で着れる、歩ける、大きな喜びを当病院からいただきました」
 「思わぬ事故で九死に一生の命でした。現在杖を突いて少しずつ歩けるようになりました」
 「リハビリは父のそして家族の生きる願いをつなぐ重要なものです」
 「非常に楽しくリハビリができました。すべて職員のみなさんのおかげです」
 不自由な手を精一杯使って書いた文字、涙が落ちてきそうな激励の言葉、一通一通に患者さんの心がこもっているメッセージです。

  回復期リハはこれから本格的に実施するとき

 「洛東病院のリハビリ技術は一朝一夕に到達したものではありません。一生懸命回復しようとする患者さんの努力と、医師や看護師、療法士などが協力し合いつくり上げてきたものです」「回復期のリハビリは、患者さんが家に帰って生活できるようになる訓練です。家族の人たちがこれからの生活を考えてもらう場でもあります」
 洛東病院の看護師さんは、これまでの患者さんに接する心遣い、技術の開発について語ります。
 リハビリの現場に行くと、家庭と同じような間取りが設定され、お風呂も訓練用につくられています。
 「看護師の手の力で風呂に入れ、家族の人に見せ、これなら家に帰ってもできるという自信を持ってもらうため」の配慮がされています。
 朝起き、服を着る、食堂に行く、排尿・排便はトイレに行く、こんな訓練を何度も何度も繰り返し少しずつ回復していくのです。
 「ケアの質がしっかりできているんです。本格的な回復期リハビリをやろうしているところです」
 洛東病院のリハビリ施設は庭とつながっています。歩行訓練用の道がつけられ、花を見ながら訓練ができます。庭の木や花は患者さんの寄付で植えられました。

  「廃止」の拙速な結論は許さないと広がる署名

 この間、京都府は、結核病棟と精神外来を廃止、救急医療の放棄、医師の短期間での異動、研修医派遣の中止等々、府民と職員の願いに背をむけてきました。そして今回の包括外部監査、「検討委員会」での意見書づくり。意図的に仕組まれた「廃止劇」といえます。
 そこには、患者さんやその家族、職員が見えていません。患者さんの声が、ずしりと響きます。
 「何歳になっても『生きる』ということは、息をしているというだけでなく、普通の生活をしながら『生きる』ということです」
 洛東病院の存在意義をしかりとらえたメッセージではないでしょうか。いま、患者さんたちの協力も得て署名が燎原の火のように広がっています。(9月9日、5293筆を提出)
府民のつどいアピール