建築関係者への「構造計算偽装問題」アンケート結果 |
---|
「考える会」が見解発表 B
3、建築行政の根本的な問題究明の必要性について 98年建築基準法改正による「民間開放」を転機に、建築行政のあり方が大きく変わっていったといえます。 98年改正をめぐって、経済界の「規制緩和による高コスト構造是正、公的部門への競争原理導入、民営化」の要求とアメリカによる「住宅建設コスト削減の性能規定化」の要求があり、それに応えた法改正、「建築確認・検査の民間開放」「性能規定化」の導入でした。「民間開放で、スピードが速<なる。確認業務を事務的に淡々とこなすことになる」(当時の建設省住宅局長)などの国会答弁でも明らかなように、その目的は確認・検査業務に市ば競争原理を導入し、スピード化を促進することでした。 そして、大手建設・住宅会社などが出資する営利目的の株式会社である民間確認検査機関に、確認・検査業務を任せることで、確認・検査が企業活動に変質していきました。確認・検査業務が商品化され、確認・検査機関を、建築主側が選択できるようになり、スピードとサービスが最大の競争原理として働くこととなりました。また、持定行政庁の確認・検査業務体制を急速に縮小・後退させ、行政も巻き込んで、市場競争による確認・検査のスピード処理かすすめられました。そして、安全性の確保は、「第一義的には建築主が自己の責任において確保すべき原則」(97年建築基準審議会害申)のもとで、建築行政から軽視されることになったといえます。 建築確認・検査は、国民の生命と財産を保護し、土地の条件や近隣の生活空間のあり方を含めた総合的な検討を行う、建築の質を規定する仕事であり、営利目的になじまない性質のものです。その建築行政の基本的な原理が変質してきたといえま。. そして、その背景には、マンションやビジネスホテルなどを典型にして、建築を効率とコスト競争優先の商品として、建築行為がすすめられ、住み手や利用者にとっての安全性は排除されていったという、建築が市場競争の道具にされてきたことかあります.98年法改正を境にして、建築のとらえ方も変質していったといえます。 「効率・コスト削減」追求による利益優先の市場競争第一主義を貫く業界と政界、官界がすすめてきた、「規制緩和、競争原理導入、民営化」による建築行政の変質にメスをいれ、その問題を明らかにすることが求められていると考えます。 |
---|
次へ |