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話題の本

本物の映画よりおもしろい

土橋亨著『嗚呼!活動屋群像』

 映画がたくさんのプロといわれる職人さんたちの努力でつくり上げられていることが感動的に伝わってくる。映画の最後に流されるスタッフの字幕、主役や監督の名前はわかっても、美術や小道具、美粧などといった画面に登場しない裏方さんたちの名前まで注意してみないのが普通観客ではないだろうか。

 「嗚呼!活動屋群像」は、映画をつくるセクションの人たちを紹介している。ただの紹介ではなく、職人さんたちの息遣いが伝わり、時には迫真の場面も登場したり、スターと呼ばれる俳優さんの秘話なども紹介され、映画づくりの面白さ、つくる人たちの職人意識、日々の努力、こだわり、人生が伝わってくる。職人同士のぶつかり合い、こだわりの中から、素晴らしい映画生まれてくることがわかる。 
 この本では、26のセクションの映画づくりの職人さんが登場する。筆者の東映の専属の監督だが、助監督時代のエピソードまた面白いが、助監督として入社以来のリアルに飛んだ職人さんの姿には感動すら覚える。

 出版に当たって推薦の言葉を寄せる永六輔さんは「ものづくりの職人たちが意地とプライドをぶつけ合う、それが映画撮影の現場。困ったことにこの本は映画より面白い」語っているが、実に的を得た表現になっている。筆者の土橋亨さんと故人となった萬屋錦之介さんとの出会いは、ほんとうに「映画より面白い」。
 
 筆者の土橋亨さんは「映画発祥の地京都から映画の火が消えようとしている。二十六遍にわたり地場産業としての映画、文化としての映画、反権力としての映画を支え、発展させ、創り出して来た職人群像を描いて感じました。いま、危機はそこにあります」「けっして化石にしたくありません」と書いているが、映画への思いが全編を通じ地伝わってくる。
  


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