京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金  料理 大学の法人化
話題の本

キーワードは「民営化」と「市場原理」

「ルポ貧困大国アメリカ」堤 未果著

 米国では2005年の全破産件数208万件のうち、204万件が個人破産(企業破産は4万件)で、その原因の半数以上はあまりに高額な医療費負担だといいます。その結果、病気になってもぎりぎりまで我慢、多くの妊婦は出産当日に退院、病気をした従業員は解雇――などがありふれた光景になっています。

 一方、貧しい高校生の個人情報が軍に提供され、そのリストに従って軍に勧誘する仕組みも出来上がっています。イラクで戦死する米兵の多くがこうして入隊した貧困な若者や移民の子どもたちです。

 低所得層を食い物にしたサブプライムローン、貧困が生み出す肥満、民営化の犠牲になったハリケーン被災者、イラク戦争に派遣されるワーキングプアなど、米国の現実をつなぎ合わせるキーワードは「民営化」と「市場原理」。

 「日本にとって決して他人事ではないこの流れが、いま海の向こうから警鐘をならしている」と著者は語ります。明日の日本の姿にしてはならないと強く思わせる本です。岩波新書、七百円+税。


話題の本ンデックスへ