パートW

京都府の今後の電子府庁化の概要と問題点

総務事務の一元化・集中化(07年4月運用開始)

 ・休暇、手当、旅費等の手続きは、職員本人が自らのパソコン画面に入力して実施
・キルビメーター(マップメジャー)等による煩雑な旅費・通勤手当業務の簡素化
・交通費計算ソフト、GISの活用により、自動計算と迅速な支給を実現
・手当、旅費、臨時職員等にかかる事務を集中処理し、所属の事務負担を大幅に削減
・職員本人の口座に振り込まれる給与、旅費等の明細をメールで通知

こんな問題点が

・総務事務は、職員が働きやすい条件を確保する上で必要不可欠な仕事です。このことを明確にすべきです。
・全職員が、自らのパソコンで各種申請・届け出をすることになりますが、当局スケジュールによるいっせい導入では、大阪府のように申請できずに自腹を切る職員が出るおそれがあります。全職員への端末配備と、職員の熟知度に合わせたていねいな研修と段階的な導入が不可欠です。
・「所属の事務負担を大幅に軽減」と言っていますが、総務事務に関わっている職員の減員が前提となっており、むしろ個々の職員の負担は増えることになります。

統合財務システム(予算編成支援系 06年10月運用開始、執行系 07年4月運用開始)

@予算編成支援(予算編成のプロセスの透明化、議案等作成支援)
A決算管理(決算情報のアカウンタビリティ、議案等作成支援)
B事項別管理(事項別に予算から決算までのデータを一元的に管理)
C電子決裁、入力支援等(電子決裁連携、ガイダンス表示、各種データ管理手法改善)
DWeb方式(システムに関与する職員の異動、増減等に柔軟に対応)

こんな問題点が

・数値さえ入力すれば、すぐにでも予算編成から予算案までできるようですが、予算編成作業は、各部局の主管課(室)が各課(室)の事業内容・案を把握して、調整しながら作成していくものです。
・予算編成に携わる職員の十分な議論の上に、システムが構築され、十分な研修を経て利用方法が熟知されなければ、通常でも残業の多い予算編成時に大混乱が起こり、大量の超勤が発生する恐れがあります。

統合型GIS(職員向け 06年度運用開始、府民向け 07年度運用開始)

・京都府と府内市町村が共同利用できる統合型GIS(地図情報システム)を整備

行政手続きのオンライン化(06年度運用開始)

・オンライン手続きや情報共有の窓口となる府・市町村共有のポータルサイトを整備
・電子申請システムは現行の負担度区システムを共同型システムへ再構築
・約170様式の新規電子化、ナビゲーション機能・代理申請機能の追加等を実施
・スポーツ施設等の空き検索、利用申し込み等が行えるシステムを市町村と共同で整備


コールセンターの設置及びFAQの整備(FAQ 06年度公開、コールセンター 07年度運用開始)

・府民からの府政に対する問い合わせ・苦情・要望・提案を一元的に受け付け、FAQ(良くある問い合わせに対する回答集)を活用しながら、迅速かつ的確な回答・処理を行う。
・現在ある府民対応窓口を集約するとともに、多様化するアクセス媒体にも対応可能な組織として、府民対応窓口をコールセンターに一元化する。


情報共有基本システム(07年度運用開始)

・府民と京都府との共有データベースを構築する。
・情報共有とペーパーレスを推進する。
・データを中心にシステムや業務を統合する。

府・市町村共同システムの整備


・基幹業務支援系(住基・税・福祉系)、バックオフィス系(財務会計、文書管理、総務事務)、フロントオフィス系(電子申請、施設予約)、統合型GIS、情報共有などを市町村と連携・共同して効率的にシステム開発を行い、情報の共有化と業務連携の推進を図る。

こんな問題点が

・行政が情報を集中する場合、府民のプライバシー保護が十分に図られることが大前提です。この点を明確にすべきです
・電子申請利用率などが現在でも非常に低い中で、開発コストなどが府民の利便性に見合ったものになっているのかどうか、十分に検証する必要があります。
・パソコン端末がないなど、オンライン手続きができない府民への配慮が必要です。他市では、施設利用申し込みのオンライン化に伴い、直接来所窓口を減らしたために、かえって不便になった例もあります。
・市町村との共同開発・共同利用は、市町村に対しても多額の財政負担を強いるものです。共同システムを整備するかどうかは、あくまでそれぞれの市町村が強制されずに決定できるよう、京都府は市町村自治を尊重すべきです。
 
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