「最低賃金」これが現実

府庁の中でもこんなことが…

みんなの賃金・労働条件の底上げこそ

  最賃デーの日に…

 7月6日は 「最低賃金デー」。京都総評は、この日、中京区で昼休みデモをしたあと、京都労働局に最低賃金の引上げを求める請願行動をしました。
 京都府の地域最低賃金は、時給678円。京都で多くのパート、アルバイトの人たちが時給680円からスタートしているのはこのためです。これ以下では働かせてはいけないという最低賃金ギリギリで実際の賃金が設定されているのが現実です。
 これを1か月の収入に換算すると12万円程度。青年部では、今年も10人の青年が「最賃体験」にチャレンジしました。家賃・光熱水費などを差し引いたら1日の生活費が食費を含んで1000円程度。「この額では、とてもじゃないけど暮らせない」…体験者全員の実感です。
 しかし、「最賃体験」が「日常」である労働者が私たちのまわりにはいっぱいいます。美容院代を毎月積み立てたり、しんどくても医者に行かない、いつまでも親の世話になる自分がイヤになる…。あなたの身近にそんな人はいませんか。府の職場で働く民間労働者や府の仕事を請け負っている人たちはどうでしょうか。


 病院の受付や清掃業務では…

 病院の受付事務。委託会社から派遣されてきている人に聞きました。「フルタイムパートで採用され、時給680円からスタートしました。資格をとるとアップしますが、わずかです。採用5年目で正規職員になり、現在月収14万円、手取り11〜12万円です。時給計算しても700円いってないと思います。ボーナスは1か月分もありません」
 また、庁舎の清掃業務で働くある人は、「収入が少ないため、3つの清掃会社に属して仕事をしています」と。また病院の清掃業務で働くある人は、「業者が変わっても雇ってもらえるのはありがたいんですが、そのたびに労働条件が悪くなります。朝4時半から仕事をしているのに、8時から15時までの賃金しか支払われていません」とも。
 「民間でできることは民間で」と…小泉「構造改革」も、「かいかくナビ」「経営改革プラン」をすすめる山田府政も「官から民」を強調します。地方自治体を「経営の視点」でみた「採算性」「効率性」を強調します。しかし、それが民間労働者の劣悪な労働条件、賃金によって成り立っているという事実をしっかり見すえる必要があります。

 印刷発注の現状は…

 「予定価格の半分とか4割とかで落札した場合、担当者はおかしいと疑問をもつべきではないでしょうか」印刷出版産業の労働組合、全印総連の井上俊幸さんは言います。
 印刷業界では、ここ数年、競争の激化で、価格ダンピングが横行。適正価格の「半値、8掛け、2割引」つまり、32%というような落札がフツーになっています。
 中小零細の印刷業者がムリな価格で落札した場合、そこに働く労働者の賃金がどうなるかは目に見えています。労働諸法令の無視はあたりまえ、残業しようが休日出勤しようがサービス残業…。「残業代なんて論外。そんなもん出していて会社が成り立つと思っているのか」と平然という社長もいるそうです。
 「経営者、業界内部のモラルハザードもありますが、割増残業手当を払う業者と払っていない業者が同じ土俵で勝負する。京都府がいうように『予定価格が材料費や人件費を適正に積算したもの』であるとするなら、企業努力があったとしても半額とかになるはずがありません」と井上さんは言います。

 京都府にもできることが…

 京都市内の製造業出荷高のうち印刷業の割合は1割を占め、いわば地場産業となっています。製版、製本の下請け業者やコンピュータ周辺業務のなかには、雇用労働ではなく、家内労働、請負で仕事をする人たちもたくさんいます。その単価は1円以下、何銭の世界だそうです。
 「@予定価格の基準を公開することA一定額以上の印刷発注は物品調達ではなく製造請負にし最低制限価格を設けることB入札監視委員会の対象を建築工事だけでなくすべての公契約に広げること」を井上さんは提案します。
 他府県ではすでにとりくまれている内容でもあります。
 労働行政に責任をもつべき京都府が、「公契約における労働諸法令の遵守は当然の前提」として済ますのでなく、事前・事後にチェックし、違反業者にはペナルティも課すようなしくみをつくるべきではないでしょうか。
 京都府で働いたり、京都府の仕事を請け負う民間労働者をはじめ、すべての働く人々の賃金・労働条件の底上げを求める運動は、私たち公務労働者が賃金闘争をたたかううえで、いま、ほんとうに大切にしなければならない特別な課題となっています。
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