「給与構造の改革」シュミレーション

9年間も現給のまま 42歳・勤続20年の職員

 「給与構造の改革」という国の制度が、仮に京都府にそのまま導入されたら、いったいどんなことになるのか。一部フィクションも交えて、本庁に勤務する42歳Aさんのケースで本俸を中心に考えてみました。
 大学を卒業して京都府に就職したAさんは現在42歳。組合には入っていますが、仕事が立て込んでいて、あまり学習会へは参加していなかったこともあり、「給与構造の改革」なるもののイメージをつかめないままでした。
 06年3月の時点で本俸「386500円」(6級16号の6月経過)のAさん。それが4月1日時点で新俸給表なるものに切り替わるため「366100円」(4級55号!)へと、2万円あまりもの大幅ダウンとなると知りました。育ち盛りの子ども3人を抱えるAさんは大ショックです。
 しかし「経過措置」として、その差額「20400円」が支給され、引き続き「386500円」を受け取ること、一時金も「386500円」がベースとなることを知って胸をなでおろすAさんでした。
 けれどもその後、Aさんの不安は次第に高まる一方です。何年たっても給料が上がらないのです。これまでと同様、一生懸命に仕事をしても本俸が「386500円」のままなのです。従来あった普通昇給と特別昇給が無くなって、代わりに導入された「 査定昇給」のせいです。全体の5%に過ぎない「A(極めて良好)」はともかく、全体の20%の「B(特に良好)」の評価が得られれば目に見えて上がっていくのですが…。
 それでもまじめにやっていくしかないと思い直したAさん。「C(良好)」の評価のままでも、いつかは本俸が上がるだろうと試算してみましたが、2015年にやっと「387400円」となることが分かりました。実に新制度に切り替わって9年後のことです。 しかも、現時点では現給が保障される「経過措置」期間がいつまで続くのかはっきりしていませんので、いつ本来の本俸に切り下げられてしまうか…、Aさんの不安は続きます。

もろ影響

民間社会福祉職員は非常に低い水準で「準拠」

 民間福祉労働者の賃金・労働条件は、公務員賃金に準拠するというのが建前であり、人勧についても大きな影響を受けます。「準拠」といっても実際には、行または「福祉職」の1・2級表の適用にとどまり、非常に低い水準となっています。例えば、学童保育指導員では、30年近く働いてやっと本俸20万円という驚くべき低水準となっています。
 このような低賃金に加えて、今回のような賃下げ勧告は、民間福祉労働者の生活を脅かし、働く意欲を喪わせるものです。また4月からの「給与構造の見直し」はさらに大幅な賃下げとなり、とくに中堅以上の職員の賃下げは平均率を上回り生活への圧迫は深刻で悲鳴があがっています。
 私たち福祉保育労は、同じ公務に働く労働者として「同一労働・同一賃金」の立場から、毎年「公務員並み」の賃金・労働条件水準の獲得をめざして国や自治体、人事院・人事委員会への要求行動を組織しています。とくに今回の人勧に対する取り組みは重視し「不利益不遡及」の徹底や4月からの給与大改悪を実施させないよう従来以上の規模で、公務員労働者と連携・共同しながらたたかっていきたいと決意しているところです。


                       京都福祉保育労委員長 前田鉄雄さん
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