何かヘン

「職員のやる気を引き出す」

     っていうけど……


〜きょうと未来づくり提案事業〜


:5月12日の京都新聞の社説、読んだ?「60年ぶり、戦後最大の府政改革が行われたが、その成否のかぎは何と言っても 職員の意識改革にかかっている」「山田府政にとって、職員のやる気をいかに引き出すかが一番の課題だろう」って。
:それで、知事は、「意識改革、意識改革」と言ってるのか。人事異動後のこの忙しい時期に、「庁内ベンチャー事業」を 募集してるのもそのため?
:そうそう。4年前に始まった「ヤングブレーン・ネットワーク21事業」が去年「政策ベンチャー事業」に組み換えられた 。今年はそれに「きょうと未来づくり提案事業」というのが追加され、2本立てになった。
:どうちがうの?
:「未来づくり」の方は若手職員だけでなく、全職員が対象。テーマも所属部局の業務に限らず府政全般で、原則、早急に 対応を要するものだって。
:自分の仕事以外のことを提案するの?
:そうみたいだね。提案された所属はその職員に資料提供なんかの協力をすることになってるし、第一次選考に通れば、テ ーマにふさわしい本庁の次長級が後見人になるんだって。
:後見人ねえ。
:第三次選考で優秀提案に決まったものは翌年度事業化され、提案職員はその事業に従事できるし、ほかにも従事したい職 員を庁内公募するらしい。
:それって何、府政が直面する課題を、その課題に関連する職場以外の職員がみつけ、解決策を提案するってこと?その仕 事を専門的にしている職員や組織ではなく。
:そう。最近、係会議なんかが形骸化して、職場の議論が欠けてるのは否定できないけど、そのことこそ問題にすべきだよ ね。フラット化の総括で当局自身が言ってたように。
:そう思うね。職員の英知や創意の発揮なんてもんは、第一義的には、現在いる職場、やってる仕事で最大限発揮されるべ きだと思うがなあ。
:そうそう。提案業務は公務と位置づけられてるんだって。
:そしたら、本来業務以外にその仕事をしようと思ったら、超勤とかなんかになるワケ?それとも本来業務の手をぬく?
:「起業家精神の涵養」とかで、民間企業の職員との共同提案もありみたいだけど。自治体が今すべきことは何か、住民の 切実な要求は何かより、目新しい施策、目新しい事業をやるのがいい仕事と思うようになる…そういう「意識改革」になら ないかな。
:職員の評価もその方向でされたらたまらんな。本来業務をおろそかにして、「成果」「評価」ばかり追求する。府民のた めに誰かがしなければならないようなルーチン的な仕事はアホらしくなる…。
:優秀提案は一つにしぼり込まれるらしい。
:だいたい、選考で一つを選ぶために後は落とすというやり方自身、何かおかしい。すべての組織でいい提案やいい意見を どんどん出しあって、どうすれば実現できるか、予算や施策を組み換えるのがスジだと思う。
:ごく一部の職員だけもちあげ、そのことをニンジンに、職員のやる気を引き出すなんて手法はあまりにも品がない。知事 は、民間企業でもう破綻している「提案制度」のむしかえしが職員の「意識改革」になると本気で思ってるのかな。
:府庁の組織全体をダイナミックに動かして、組織全体を活性化させる自信がないというか、京都府の職員をほんとうに信 頼していない気がするね。
:個人の思いつきみたいなものには限界があるもんな。私らは職場の英知を集めるような組織運営を追求して、ほんとうに 府民のために府政が直面する課題を提示し、解決策・実施策を具体化するため力を出したいね。
:知事こそ、組織のトップとして「意識改革」が求められていると思う
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