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中高年は7%の賃下げ 地域格差は18%も拡大

人事院が「給与構造の見直し」の措置案を説明

1.俸給表構造の見直し
まだ、民調結果が出ていないので、「5%」は固定した数字ではない。5%はブロック別官民比較により給料表の水準引き下げをするので、ブロックは同一水準という誤解が広がったので、「一番低いところをふまえ」というような表現は避けた。
(1) 級構成の再編は従来示してきた内容を確定したものです。
(2) 号俸構成等も従来の提示内容を確定しました。
(3) 俸給水準是正
 中高年の5%以上の水準引き下げについてあらたに、「30台半ば以上」という考え方を示し現行の4・5級(新3級)でも中位号俸以降では5%以上の引き下げになります。
(4) 昇格時の号俸決定方式
「昇格前の俸給月額に職務の級別に一定額を加算した額を基礎」に直近号俸決定とし、「一定額」は級別に格差があること、各級の改定後の4号俸の号俸間格差合計額(現行の1号相当)の最高額(7級では9,000円程度)が基準となるなどの考え方を示しました。
(5) 切り替え方法
切り替えは「経過期間ごとに応じ」とあるのは切り替え日(06年4月1日)で3月経過者(1月1日昇給者)は「対応号俸の1号上位(4分割した1号)」、9月経過者(7月1日昇給者)は「対応号俸の3号上位(4分割した1号)」、ということです。
(6) 指定職俸給表
 指定職給料表も7%水準きり下げるとともに、下位号俸(1〜3号)をカットするとしています。

2.地域手当及び広域異動手当
(1)地域手当の新設
ア.「賃金構造基本統計調査」(賃金センサス)が5万人以下の自治体の安定性・信頼性がないため、自治体ごとの手当設定を行わないばかりか、現行では町として調整手当があるのは神奈川県葉山町(御用邸があり、特殊な事情)のため、5万人以下の市と町村には地域手当の支給単位としないことを明らかにしました。「地域の一体性を考慮して、支給地域に近接する地域の指定」とは、例として「千葉県柏市のように6割以上が東京に通っているような地域は東京並みにする」「東京都奥多摩町や桧原町の都内郡部も通勤圏などの一体性で支給がありうる」などの扱いを示しました。5万人以下の自治体については「一体性地域指定」については、国の官署がなくても該当地域として人事院が明らかにする可能性はあるとしています。
イ.(略)
ウ.地域手当区分を現行の調整手当区分に上乗せして「3、6、10、12、15、18%」とすることを明確にしました。
エ.地域手当が賃金センサスのどの水準からつけるかということについて、「5%程度下げられることを考慮した新たな基準」とは従来調整手当3%が賃金センサス101.5%からつけていたことを考慮し、「96.5%から3%支給」を考えていることを示しました。しかし、6%支給が99.5%からかどうかなどは全体の水準のからの割り振り、5%引き下げにより、別制度への原資移行との関係でかならずしも機械的にはできないとしました。
オ.(略)
(2)広域異動手当の新設
手当名称について「転勤手当」だと赴任旅費的理解もあり「広域異動手当」と変更したことを明らかにし、改めて転居を伴いながら広域人事異動に応じる職員のための手当であることを明確にしました。「3〜6%」としているのは「全国異動」「管区内異動」の違いで2種類にする可能性が強いとしました。
ア.あくまでも「転居を伴う異動」職員に支給することです。
イ.特地・準特地手当との併給調整を示しました。
ウ.官民比較にもとづき、一部財源を単身赴任手当の引き上げを行うとしました。

3.勤務実績の給与への反映
(1)勤務実績に基づく昇給制度の導入
ア.各昇給日を1月1日、年1回としたのは、4月は新規採用事務、7月は幹部職員異動があるため、査定昇給実務を12月に行うことが妥当としての判断としました。
イ.「初任層(1〜3級)、中間層(4〜8級)、管理職層(9級以上)」の3区分で分布率を設定するとしました。分布率で初任層は「8号俸5%、6号俸15%、4号俸80%弱」、中間層は「8号俸5%、6号俸20%、4号俸75%弱、1.2号俸1%以上に」管理職層は「標準を3号俸」に引き下げ、標準査定なら現行より上がらない制度とすることを明らかにし、その財源で「優良」「特に良好」を大幅に増やすとしました。
ウ.「55歳昇給停止」の維持について「査定昇給にするなら廃止を」の声もあるが、民間でも6割程度残っており、高年層は官の方が高い現状もあるので継続するとしました。
エ.基本的に経験年数を号俸決定に反映する現行方式を維持としました。
(2)勤勉手当への実績反映の拡大
ア.一般職「標準」者は70/100から65/100に0.05月引き下げ査定原資に回すことを示しました。あわせて懲戒処分を受けた職員については、戒告で55/100を基準とするなどの通達があるが、これについても引き下げるとしました。
イ.(略)
(3)昇格基準の整備
当初、級別資格基準表を廃止し、評価制度による数年の蓄積に基づき昇格させる制度への改悪を示していましたが、当面存置し、本格的な評価制度の導入に合わせて昇格基準を整備するとしました。従来は通達にもとづいていたことを規則化するとしています。

4.その他の課題
(1)専門スタッフ職給料表
専門スタッフ職給料表は、該当職種の確定に手間取っている。
(2)特別調整額の定額化
定額化し、調整額V種〜X種については額を平均より高く引き上げる。

5.施行日、経過措置
(1)施行日は2006年4月1日を考えている。
(2)経過措置については今後更なる検討に基づき提案する。

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