地域によって18%もの賃金格差・キャリアは超優遇

 人事院は5月25日、「給与制度の基本的見直しについて(措置案)」を発表しました。これまでの給与制度を根本からくつがえす「給与制度の基本的見直し」について人事院は、昨年11月に「素案」、今年2月に「素案(補足説明)」とこれまでは人事院としてのたたき台を示してきましたが、今回の「措置案」は、その後に労働組合や府省庁からの意見を聞き取った上での「見直し案」としています。「素案」から「措置案」で新たに明らかとなったことは…。

30歳代半ば以降は最大7%の賃下げ
 
 「素案」では、これまで給料月額の水準を地域における民間水準との格差を考慮して5%程度引き下げるとしていましたが、「措置案」では新たに「30歳代半ば」以降については、さらに最高2%程度引き下げるとしています。「30歳代半ば」といえばまだ子育て真っ最中。こんな時期に賃下げなどとんでもありません。

地域給は3〜18%の6区分

 現行の調整手当を廃止して民間賃金の高い地域に勤務する職員に対し支給する地域手当については、新たに賃金センサスを基礎資料に人口5万人以上の市を単位として3、6、10、12、15、18%の区分で支給することを明らかにしました。

査定昇給を毎年1月に、昇給幅は1〜8号
職層で配分率に格差

 「措置案」では昇給は毎年1回、1月1日に実施することとし、現行の普通昇給と特別昇給を廃止して査定昇給とすること。その際の昇給幅を査定によって1〜8号までと格差を設け、係員、係長、管理職などの層によって、その配分率を変えることとしており、職場にいっそうの差別と分断を持ち込むものとなっています。
実施は来年4月 また、新制度の実施を来年4月とすること、その時点での新給料表への切り替えについては、現行の号俸を4分割するため、4月時点での経過期間に応じて細分化された号俸に切り替えることを基本とすること、また、枠外昇給制度を廃止することに伴い最高号俸まで引き下げることなどについても明らかにしました。

退職手当のさらなる引き下げを検討

 基本給の引き下げにより退職金もそれに連動して下がります。総務省はこれに加えて、退職金の「加算」額に級別の格差をもうけ、退職金のさらなる引き下げを検討しています。

職場・地域からのたたかいを

 人事院は今年8月の人勧に盛り込み、来年4月の実施をめざしています。総務省も「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」を立ち上げており、地方自治体への影響は必至です。この夏期闘争では給与構造見直しを許さない職場・地域からのたたかいをすすめていくことが大切です。府職労は「給与構造の基本的見直し」に反対し、「全国トップグループ」の賃金・労働条件を確保することを求める要求署名にとりくんでいますので、すべての組合員のみなさんのご協力をお願いします。
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