「キャリアは損をしてきた」

地方切り捨て、キャリア優遇策を当然視

人事院近畿事務局課長暴言に怒り

 国公労連や自治労連の加盟組合でつくる近畿公務共闘(山村隆議長)がこのほど、給与構造改革について人事院近畿事務局と交渉したところ、対応した総務課長は「キャリアの処遇は民間と比べてあまり高くない。これまでキャリアは損をしてきた」と発言。
 地方勤務の一般国家公務員には賃下げを押し付けながら、特権官僚にはお手盛り処遇をして当然との主張に、交渉に参加した組合員からは怒りの声が飛びました。
人事院は今年の勧告で、給与構造の基本的改革を打ち出す予定。具体的には、地方勤務の公務員に5〜7%の賃下げを行うことが柱です。一方、本省のキャリア官僚には@賃下げなしA昇給しやすいような俸給表(賃金表)の手直しB民間に例のない本府省手当の新設C地方への転勤者が賃下げにならないよう「広域異動手当」を新設──といった優遇策を行う考えです。
 近畿公務共闘と近畿人事院事務局が、6月16日に行った交渉で、公務共闘は「近畿の国家公務員の賃下げは、地方公務員や民間の賃金にも影響する。キャリア組とその他との格差も一層拡大する」として、今回の給与構造見直しを撤回すべきだと訴えました。
 対応した総務課長は「7%、5%賃金が下がる人が出るかもしれないが、見直しをやめることはできない」「キャリアの処遇は現在民間と比べてあまり高くない。中央で国策など困難な仕事…に就き、能力を発揮しているのであれば、それなりの処遇をしなければならない。キャリアはこれまで損をしてきた」とのべました。
 近畿公務共闘などが主催した「人事院近畿事務局包囲総行動」が行われ、府職労からも2人の代表が参加しました。 人事院の個人請願行動には1000人近くが列をつくり、1人ひとりが人事院事務局に手渡しました。しかし、人事院は不当にも請願行動に責任者を「時間切れ」と称してひき上げる事態が発生(箱だけを入口に置くだけ)、不誠実な姿勢を見せました。
 人事院事務局との交渉に並行して、庁舎横で交渉支援集会が行われました。近畿各府県の代表や国公各単組による決意表明では、「地方を切り捨てる給与見直しは許せない」「一人の賃下げも許さないを合言葉に、団結して最後まで闘おう」「所長以外の管理職も含めた署名を持ってきた。所長も本省などに給与構造見直し反対で要請している」など決意や闘いの報告がありました。
 全労連と国民春闘共闘、公務労組連絡会は6月24日、東京の人事院と厚生労働省前で公務員賃金の「格差拡大・賃下げ」悪循環阻止などを訴える行動に取り組み、約2千人の組合員が参加しました。「給与構造改悪反対」「何で賃下げやねん」などのノボリやプラカードが並ぶ中、全労連の坂内三夫事務局長は「魔女狩りのような公務員バッシングが行われている」と指摘。人事院が組合との合意・協議もなく賃金の一律削減を打ち出そうとしていることを批判しました。
 民間労組を代表し桑田富夫生協労連委員長が「なぜ公務員賃金を5%下げる必要があるのか。地域経済、特に商業・流通に与える影響は大変なものがある」。東北「地域給」対策会議の代表も「地方を削って本省優遇とはどういうことか。地方を豊かにするのが政治の役割ではないのか」と訴えました。

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