サラリーマン直撃、42万円もの大増税

政府税調報告書給与控除縮小へ

消費税増税の呼び水にも

 政府税制調査会(首相の諮問機関)が6月21日発表した報告書「個人所得課税の見直しに関する論点整理」は、サラリマーン世帯に大幅な負担を強いるものであると同時に、消費税引き上げの呼び水にもなる大増税計画書です。
 報告の柱は、税負担を軽減する各種控除の縮小・廃止。内容は@給与所得控除の縮小A退職所得控除見直し(短期雇用を適用除外)B配偶者控除の廃止C扶養控除の見直し(年齢制限の設定)D特定扶養控除の廃止──などです。
 05年度改正で半減された定率減税(所得税、個人住民税)の廃止も盛り込まれました。
 定率減税全廃、給与所得控除半減、配偶者控除・特定扶養控除廃止、扶養控除縮小となった場合、年収500万円のサラリーマン世帯(夫、専業主婦、子ども二人)では年42万円以上の増税となります。消費税を10%に引き上げると52万円物負担増になり、まるまる2ヶ月分の賃金が増税で消えてしまいます。
 大企業・高額所得者の優遇税制にはいっさい手をつけないサラリーマン直撃の大増税。政府税調の石弘光会長が「就業者の八割を占めるサラリーマンに頑張ってもらうしかない」と述べるなど、まさに「取れるところから取る」という不公平税制の最たるもの。
 報告書には「消費税引き上げへの布石」という意味もある。消費税を引き上げて税制の中心に据えることは政府・与党、財界の確固たる方針で、小泉首相の任期が切れる来年九月に向けて、消費税増税論が強まるのは必至。その時、「所得税増税がいやなら消費税増税を」と国民が迫られる可能性は高い。
 税調が報告書を発表したその日、政府は「骨太の方針2005」を閣議決定しました。「社会保障削減や公務リストラで歳出削減をしたのだから、次は国民負担増の番だ」とアピールするのが狙いといえます。

・サラリーマン狙い撃ち全労連が談話

 全労連は6月21日、政府税制調査会が同日発表した報告書「個人所得課税に関する論点整理」について、「サラリーマン世帯を中心に大幅な負担増を強いるもので、断じて容認できない」と抗議する坂内三夫事務局長談話を発表しました。 「給与所得控除や退職金への課税などサラリーマン世帯を狙い撃ちしたかのような大幅負担増」と指摘するとともに、公共事業や軍事費などの浪費、史上最高益をあげている大企業・高額所得者への優遇税制には一切手をつけていない庶民大増税であると強調。こうした増税案は将来の消費税増税に向けた一歩であり、これを許すならば「定率減税の廃止」「各種控除の縮小・廃止」「消費税率引き上げ」のトリプルパンチで労働者・国民の生活や家計が壊滅的打撃を受けるのは必至であり、安定した日本経済など到底のぞめないと述べています。

目次へ