「だれでも万円」の賃上げ要求

全労連が春闘討論集会

「小さな政府論」反撃へ闘争本部

 全労連は12月1、2の両日、熱海市で06国民春闘討論集会を開き、春闘構想(第2次案)を提起しました。
 賃金闘争では昨年と同じの「だれでも月額1万円」、パート向けには「だれでも時給100円」を要求します。小泉政権の「小さな政府」路線に反撃するため「もうひとつの日本闘争本部」を新たに設置、大規模な運動も展開する考えです。春闘方針は1月の評議員会で正式決定します。
 構想は大企業が史上最高の利益をあげ連合も久々に月例賃金引き上げを打ち出したことなどをふまえ、「実質賃金の改善につながる積極的な賃上げをめざして粘り強くたたかう」と強調しました。春闘アンケートでは賃上げ要求額が年々低下してきたが、今回は18376円(3分の2ライン)など前年とほぼ同じ水準となったため、05年春闘と同額要求としました。 あいさつした熊谷議長は「大企業は利益を大きく膨らませ内部留保はバブル期の2倍になったが、労働者の賃金は下がり続けている。この状態を打開するため、執念をもって賃金闘争を」と訴えました。
 「もうひとつの日本闘争本部」は小さな政府路線や公務員たたきに反撃し、安心できる公務・公共サービスを確立するのが目的。1億5000万円の財政を確立し、大がかりな運動を進めます。闘争本部長には熊谷議長が就任し、自治労連、国公労連、全教が専任者を派遣します。来年3〜4月の全国キャラバンなどを計画しています。
 構想はまた、憲法改悪と大増税反対のたたかいも重視。全員参加の春闘とするため、各組合員が一日の有給休暇をとって運動に参加することも呼びかけました。

●〈討論から〉国民守る闘いに全力 

 「もうひとつの日本闘争本部」にかかわる発言が続きました。
 自治労連は「住民とともにくらしを守るたたかいを展開するため、先頭に立つ」と決意を表明しました。国公労連は「小さな政府論の本質と小泉改革の方向を社会的に明らかにすることが大切」、全教は「もうひとつの日本は憲法を守り生かすたたかいでもある。35000人参加した11月19日の集会の2倍、3倍のたたかいの提起を」と述べました。公務労組連絡会は「小さな政府は格差と自己責任の社会、戦争する国をもたらす。日本の未来と国民の生活を守るため全力を尽くす」と述べました。 大阪労連は公務員攻撃に反撃する独自の闘争本部を今年夏に設置したことを紹介。攻撃に財界や大企業が加担していることなどを明らかにする取り組みを求めました。京都は「公務員の闘争だけでなく、小泉改革との全面対決であることを国民に理解してもらう大きな取り組みを」と強調しました。埼玉は「公務員バッシングへの対応だけでなく、公共サービスや国・自治体の役割の提言も」と要望し、愛知は「公務員が職場からうって出て運動する際、公務労働の専門性を訴えることが大事」と指摘しました。自交総連は小さな政府の弊害を暴き真の改革の方向を示すことを求めました。
 奈良は「労働者の中にも『公務員の数は多い』などの声がある。政府に対する住民の怒りが公務員に向けられているのが現実だ」と紹介。住民の怒りとどう向き合うかが運動の焦点だ、と力説しました。
 「盛岡市では公立病院民営化などに反対する官民一体のたたかい進んでいる」(岩手)、「金融3単産と共同で11月に地域経済活性化のシンポジウムを開いた。商店街や商工会議所の代表がパネリストになり、県や市の後援も。大義ある要求なら運動が広がると確信した」(千葉)などの経験も紹介され、公務員攻撃に対抗するたたかいに生かしたいと語りました。

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