賃上げへ絶好のチャンス

全労連など06国民春闘方針決定

攻勢的な取り組み呼びかけ

 
●月額15万円、日給7400円、時給1000円要求

 全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は1月17日、東京で単産・地方代表者会議を開き、2006国民春闘方針を決めました。「誰でも月額1万円」の賃金引き上げなどを掲げて攻めの春闘を強調するとともに、生活破壊の小泉「構造改革」や憲法改悪の動きに反撃する国民的大闘争を呼びかけています。 財界幹部らが個別企業の「賃上げ容認」発言をし、自動車や電機など連合の大手労組は4〜6年ぶりに賃上げ要求を掲げる見通し。方針はこうした情勢の変化にふれ、「賃上げの絶好のチャンス」であると強調、賃金・労働条件の改善に向けた攻勢的な取り組みを呼びかけました。
 
すべての組合の課題として、「誰でも月額1万円、時間給100円」の賃金引き上げ、「月額15万円、日給7400円、時間額1000円」の最低賃金の実現などを設定。@すべての労働者のベア(定昇相当額を上回る)実現A企業内最賃の締結・改善B均等待遇実現、格差是正――の3点で、統一闘争に取り組みます。
 全国で最賃体験運動を行い、自治体が発注する仕事に対して適正な賃金を確保させる「公契約条例」の制定も求めていきます。
 企業の社会的責任(CSR)を追及するため、独自の「企業通信簿運動」に基づく評価をふまえ、大企業との交渉・懇談の実現を重視します。トヨタ本社を包囲する「トヨタ愛知総行動」を2月11日に設定、昨年(1500人)を上回る規模の行動を呼びかけています。
 
 通常国会がヤマ場を迎える5月下旬には憲法、教育基本法、増税、医療などをテーマとする10万人規模の集会を開催する計画です。
 集中回答日は3月15日に設定し、翌16日にはストライキを含む全国統一行動を配置。地域総行動を2月中〜下旬に行います。 あいさつした熊谷金道代表幹事(全労連議長)は、「春闘共闘は毎年、連合を若干上回る賃上げを勝ち取っているが、今年は連合単産も一定のものを取るだろう。われわれがそれを下回ることはあってはならない。(額についての)勝ち負けではないが、要求に執念をもってたたかおう」と賃上げへ絶好のチャンスを生かすことを強調しました。

 ●各単産が決意

 JMIUは「いま職場では大幅賃上げへの期待が高まっています。特に、組合未加入者の期待が高い。攻めの春闘に思い切って取り組みたい」とし、すべての支部・分会で要求書の提出をめざすと述べました。化学一般は、厳しい経営を強いられている中小で「賃金構造維持分の獲得か、一万円の賃上げを求めていく」と報告しました。
 神奈川は「生活保護基準や生計費への考慮などをうち出している、今後の最賃制のあり方に関する公益委員試案(厚生労働省労働政策審議会最賃部会)に沿えば、地域最賃額は現行の倍近い水準になる」と述べ、審議の行方に注目しようと呼びかけました。
 
 自治労連は公契約条例制定を公共サービス職場で進められている人件費削減への対抗軸としたい考え。条例案モデルをまとめ、全国の自治体に働きかけると報告しました。
 全農協労連は農協の統廃合などについて、「『食の安全、安心のためには農協が必要』という世論をつくるために、春闘では地域で対話運動を進めたい」と決意表明。
 民放労連はほとんどの民間放送局が国民保護法制に基づく「指定(地方)公共機関」の指定を受けたと報告し、春闘でストを背景に指定の返上を経営側に迫る、としました。
 トヨタ包囲行動については、「初めて取り組んだ一昨年は、連合の組合の中にも『よくやった』という声があった。今年は5000、10000人規模をめざすべき」(神奈川)などの意見も出されました。

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