「行政改革推進法」の閣議決定の抗議

自治労連が書記長談話

「行政改革推進法」は、公務・公共サービスを縮小解体する悪法

国民の安全と安心、くらしと権利を守ることこそ、政府・自治体の責任

 改憲のための国民投票法案を、開会中の第164回通常国会に提出する策動が一段と強められているなか、小泉内閣は10日、「行政改革推進法案」を閣議決定しました。政府・与党は、特別委員会を設置して「行政改革推進法案」と「市場化テスト法案」を集中審議、成立を図ろうとしています。この「行政改革推進法案」は、@公務・公共サービスを縮小解体し、A公務・公共サービスの担い手を安上がりの不安定労働にかえ、B地方自治の原則を蹂躙し地域経済を疲弊させるものです。
 自治労連は、小泉内閣の構造改革をいっそう推進させる「行革推進法案」に反対し、国民の安全と安心、くらしと権利を守る公務・公共サービスの拡充をめざして全力をあげるものです。


−財界・大企業の要求をもとに国・自治体のあり方を変えるもの−

 政府はこれまでも、一面的に「効率化」を図る「行政改革」を推進し、自治体にも「技術的助言」や地方財政制度を悪用して押し付けてきました。しかし「行政改革推進法案」は、昨年来すすめてきた「総人件費削減」「小さな政府」の政策を、法制化によって国と自治体の責務として縛ることであり、断じて許されるものではありません。
 小泉内閣がすすめる構造改革によって、地域間の格差は拡大し、JR福知山線脱線事故、耐震強度偽装問題など、国民の生命と財産を脅かす事故、事件が相次ぎ、国民生活に深刻な問題をもたらしています。
 いま政府に求められることは、地域間格差を是正して国民が等しく公務・公共サービスを受けられるように改善すること、社会保障の充実と大企業の経済活動に対する適切な規制によって国民の安全・安心を保障すること、住民福祉増進のための自治体の取り組みを財政的に保障することではないでしょうか。
 

−法案の3つの問題−

 「行政改革推進法案」は、第1に、「基本理念」に「可能な限り民間にゆだねて民間活動の領域を拡大すること」及び「経費を抑制」することを掲げているように、公務・公共サービスを縮小、解体させることを理念としています。
 第2に、国家公務員にあっては5%、地方公務員にあっては4.6%の純減目標を示し、その実現方法として、仕分けによる事務・事業の廃止、民営化・民間委託化、さらに教育、福祉等の職員配置基準引き下げなどをあげ、まさに職員削減が公務・公共サービスの水準引き下げによって達成する内容になっています。
 第3に、法案に列挙する重点分野について「基本理念にのっとり」行政改革を推進することを、「国及び地方公共団体」の責務として明記し、自治体にも国が定める基準や手法をそのまま実行せよと押し付けていることです。自治体が自主的自律的に住民福祉の増進を図ることは憲法及び地方自治法に基づく責務ですが、法律によって住民福祉を後退させる具体的手法まで規定することは地方自治の原則を蹂躙するものといわざるを得ません。

 
−国民要求の実現めざし、職場と地域を基礎に、広範な人たちとの共同で−

 自治労連は、住民の安全と安心、くらしと権利を守る公務・公共サービスを縮小し、低下させる「行政改革推進法案」に断固として反対し、「市場化テスト法案」とのたたかいと結合して、職場と地域を基礎に、民間・公務労働者をはじめ広範な国民各層との共同行動を広げ、廃案をめざして、全力をあげることを表明するものです。

2006310

日本自治体労働組合総連合

   書記長 大黒作治

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