生活破壊・職場破壊・地域破壊もたらす

国追随の「給与構造改革」勧告に抗議

5京都不人事委員会勧告に対する府職労見解

査定昇給・地域手当など「給与構造の見直し」をストレートに導入

       基本給の0.3%引下げ、一時金は0.05月引き上げ

 京都府人事委員会は10月14日、知事と府議会議長に対して「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行いました。今年の勧告は、今年度の給与改定と来年度以降の「給与構造の改革」という2つの内容からなっています。
 第1に、今年度の給与改定については、平成15年4月から実施されている給与カットの影響のため、「職員の給与が民間給与を10,159円(2.39%)下回っている」としながらも、「給与カット措置がないものとした場合」は△1,619円(△0.37%)民間を上回ることから、給与決定原則に基づく民間との均衡を図るため、人事院勧告等に準じて全ての給料表を△0.3%引き下げるとともに、配偶者に係る扶養手当を500円引き下げるよう勧告しました。一方、勤勉手当については民間との均衡から支給月数を人事院勧告に準じて0.05月引き上げることを併せて勧告しました。
 私たちは、8月に出された人事院勧告をふまえ、生活破壊を押しつけるマイナス勧告ではなく、カット措置の早期中止とカット後の実態に基づく民間賃金との較差是正を求めてきました。平成14年、15年に続いて史上3度目の給与本体でのマイナス勧告は、不当な人事院勧告に追随したものであるとともに、労働基本権制約の「代償機関」としての役割を放棄したものと言わざるを得ません。
 しかし、一方で、@給与カット措置を実施していることをふまえ、カット前後の2つの較差を示したこと、A「給与カット措置の影響により、民間を現に下回っているため、調整措置を講じる状況にない」として本給と扶養手当の減額については、国のような4月に遡っての調整はしないとしたことなど府独自の実態をふまえた人事委員会としてのこれまでからの見識ある表明も行っています。

  
「給与カット措置」は改善へ踏み込んだ勧告

 さらに、給与カット措置については、昨年まで「改善について言及を差し控える」としてきましたが、今年の「報告」では、職員の生活に影響が及ぶことなどをふまえて、給与決定の原則によって決定されるよう「切に望む」と言及していることは、私たちの要求ととりくみを反映したものといえます。

  
地域間の格差拡大

 第2は、来年度以降の「給与構造の改革」について勧告したことです。「報告」では、現行給与制度を国に準じて措置してきた結果、年功的な処遇となってきたこと等、国家公務員の抱える課題と同様の課題を抱えている、という認識を示し、「人事院勧告の内容を基本としつつ、新制度を段階的に実施することが適当」であるとして、平成18年度は、@給料表については、人事院勧告に準じて改定するとして、行政職給料表は10級に再編するとともに、今年度の改定後の給料表からその水準をさらに平均△4.8%、最大△7.0%引き下げ昇給カーブをフラット化する、きめ細かい「勤務実績」の反映のために現行の号給を4分割する、A普通昇給と特別昇給を統合し、査定により昇給に格差を付ける「査定昇給」を導入するとともに、枠外昇給制度の廃止と55歳昇給停止措置を見直す、B勤勉手当についても国に準じていっそうの実績反映を図る、C調整手当に替え地域手当を新設する(「概要」表参照)、などがその主な特徴となっています。
 地域手当の支給地域と支給割合については、これまでの交渉でのやりとりをふまえ、国は民間賃金を唯一の指標としていることに対し、京都府は人事院勧告を基本としつつも、「地域の連続性・一体性を考慮するとともに物価・生計費等」京都府独自の基準を用いて定めるとした結果、国で措置されない市町村も含めて府内全域を支給対象地域としたことについては、調整手当が現に果たしてきた役割と経過をふまえたものとして評価できるものの、現行調整手当の支給水準を下回ることによって基本給のマイナスとあわせて二重のマイナスが押しつけられることについては断じて容認することは出来ません。
 また、査定昇給の導入と勤勉手当の実績反映に関わって、「評価制度の整備状況等、本府の実情に配慮する必要がある」としていることは、私たちのとりくみの反映ではありますが、評価制度と賃金リンクの受け皿をつくったという点では今後に大きな問題を持つ内容と言えます。

 
査定昇給の導入で職員間に格差持ち込む

 さらに、国が財源捻出のために実施する平成21年度までの昇給抑制措置について、私たちは「京都府では財源を捻出する必要がないのだから導入する必要がない」と追及してきたにもかかわらず、何の根拠も示さずに「人事院勧告に準じて昇給幅を抑制することが適当である」としていることや、級号給の再編に関わって「職務・職責等に応じた処遇を更に推進することが適当」とし、これを機会にいっそうの職務・職階給強化を狙っていることなどは決して看過することはできません。
 「給与構造の改革」については、一部に京都府独自の措置を講じているところもありますが、全体としては受け皿としての導入も含めその基本的枠組みは人事院勧告と同じ内容となっています。私たちは、「給与構造の改革」が職員の生活破壊・職場の団結破壊・地域の経済破壊としてその導入に断固反対してきました。仮に導入する場合でも給与構造そのものに関わる重大な内容であるが故に時間をかけた慎重な検討を求めてきました。しかし、勧告された内容は研究会を立ち上げて検討してきた地域手当を除きまさに、国・総務省言いなりで、その圧力に屈服した勧告と言わざるをえず、「給与構造改革」を押しつける今回の勧告に私たちは断固抗議するものです。 

  
国・総務省追随許さず、生活改善へ職場地域から共同を

 人事委員会勧告が出され、いよいよ年末確定闘争が本格化します。
 当局との確定交渉では、「給与構造の改革」に関わって府民のために団結して安心して仕事に専念できる民主的な賃金制度の確立を求めて奮闘しましょう。また、現在国会で議論されている退職手当のさらなる改悪や給与カット措置の取扱いなどが重要な課題となります。引き続き学習を深めながら全組合員の団結署名や支部・分会・専門部での要求書の提出と交渉の実施など職場からのたたかいをおおいにすすめましょう。 また、総選挙結果を受けて、公務員の総人件費抑制を競い合う危険な動きが加速しています。さらに、憲法改悪や庶民増税の動きも強まっています。
 それだけに今年の年末確定闘争は、例年になく重要なとりくみになります。職場を基礎に全国の仲間とともに、新たな攻撃に立ち向かう年末確定闘争に全力をあげましょう。

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