住民の営みが反映される都市整備を
03自治体学校in徳島に参加して宇治土木事務所分会・Mさん

  自治体学校in徳島へ参加してきました。
 たまたま職場でリーフレットを見かけたのですが、メニューがバラエティに富んでいて、内容も充実してそうでしたので、なんとなく気にはなっていました。職場の方がすすめてくださったので、よしっと参加することにしました。
 徳島は、京都から案外近いところです(北部の方は大変かもしれませんが)。宇治市内からでも3時間半程度で着いてしまいます。
 讃岐うどんブームやテレビでも放映されていた山村自治体の産業(料理の飾りに使われる葉の採取と出荷が、地場産業として根付きつつある)など、今四国は気になるところの一つです。
 ところで、四国の人は頑固、というのが定説です。市町村合併や地方交付税・交付金の問題で、小さな自治体は生き残りをかけた戦いを展開しており、「自分のまち・むら」を守るため、その頑固さが吉と出てきつつあるようです。合併するしないは別として、自分の住む地域の尊厳を保とうという意識が住民に芽生えていると聞きました。
 さて、26日(土)の講演会は都市整備の問題について聴講しましたので、以下はその報告です。
 内容は、都市再開発に伴うハード整備において、無計画な都市景観の形成がなされていることへの警告、そういった整備計画で施工された超高層住宅に住む住民の生活基盤としての愛着の無さ、大企業工場跡地の利用方法について地域の意向が反映されていない等です。
 小泉内閣の施策の一つであった都市再開発ですが、どうにも箱モノ優先、地域住民との連携不足が目立ちます。今ひとつ・・・どころかやっぱり無駄遣い・・・という結果に終わりそうです。当初はメリハリのある公共事業になるかと期待したのですが。
 都市は山間部とは違い、人間の営みそのものが周辺環境です。既存のインフラが複雑に交錯している中でのハード整備はどうしたって困難を極め、費用も莫大なものになります。それだけに地域住民の営みが反映されないハード整備は、「仏つくって魂入れず」状態になるわけです。おしゃれで便利な超高層マンションに住む若い女性の意見として「虫が来ない。とても立派なコミュニティスペースはあるが、近所つきあいする雰囲気でない。ここで子育てをする気にはならない。」との記述があり、とても印象的でした。また、豪華絢爛な未来型超高層ビルの乱立が、景観を無秩序なものにしてしまいます。都市の景観は、住民の営みから自然に形成されるものであり、最初に枠を作るものではない・・・。少々時間はかかりますが、もともと投資のしがいがある地域なのですから、あわてて箱だけつくらずとも良いと思います。大企業の工場跡地の利用についても、特定の団体や機関のみに利益になるような計画にするものだから、結局皆が使い勝手の悪い施設やスペースができたりするわけです。都市は人が多いのですから、皆を巻き込まなければ、寂しさに拍車がかかります。山間部の誰も利用しない立派な橋も怖いですが、都市の誰も来ない商業スペースは・・・もっと怖い。いろんな人がいますから満場一致にはなりませんが、それにしたところである程度の人の参加が必要です。
 宇治においても、日産車体の工場跡地利用の計画が着々と進められています。我が宇治土木事務所でも、跡地の有効利用のため日々協議や工事の準備に取り組んでいます。宇治周辺地域のためになれば・・・日産車体が去ってしまって大変な経済損失を被っのが少しでも元気になれば、と思っています。賛成も反対も含め、皆を巻き込める、関われる、そんな都市整備をする必要があります。これは何も大規模な都市再開発だけではなく、我々の日常業務でもあてはまることだと肝に銘じて帰路につきました。
最後に。おみやげの徳島ラーメンは職場の方に好評でした。うどんだけでなく、そば、そうめんなど麺類が充実している四国です。打って、こねて、延ばして。
 我々自治体職員と地域住民との関わりも、時間を惜しまず打って、こねて、延ばして作り上げていきたいものです。