年間3万人を超す自殺者、中小企業の倒産、若者の就職難と低賃金・無権利、生活保護世帯の増。その一方で大企業は空前の儲けで貯めこんだお金は83兆円(金融業除く)。小泉「構造改革」で府民のくらしと営業は?実態を取材しました。


 
貧困ラインギリギリの年収
 眠れない長い夜

 「タクシードライバーの長い夜」「タクシー労働者は眠れない」NHKが2度にわたってタクシー労働者の実態を放映しました。新道路運送法が施行されて以後の労働者の実態を追ったものです。業界の規制緩和前後から、タクシーの増車、運賃競争が激化。「眠れない長い夜」になりました。
 京都市内のタクシーでも、人口170人に1台の比率になっています。大阪が400人に1台ですから、異常な事態になっているのです。

 激しい運賃競争

 新道路運送法は、増車の自由と運賃の自由化が中心。新規参入が自由になり運賃は最高12%の範囲で引き下げることができるようになりました。
 京都の自交総連浅井書記長に聞くと、規制緩和以降の平均年収は270万円。60%の労働者はそれ以下だといいます。日本の貧困ラインは、年間所得258万円未満です。ほとんどのタクシー労働者が貧困ラインギリギリ。

 
月299時間働いても

 見逃せないのは、年間所得270万円を得るための労働時間です。「一般的には月間の所定内労働時間は170時間です。タクシー労働者は月299時間が限度です。それを超えると違反点数累積で営業停止にもなる」決まりがあると浅井さんは語ります。限度ギリギリ働いて、やっと手にする金額が270万円です。
 運賃引き下げ競争で、お客のうばい合いになるトラブルも起こっています。大阪では「しゃぶり」というそうですが、駅前で「客引き」するドライバーもいるそうで、熾烈な競争が、安全・安心を脅かす事態も生まれています。

  
タクシードライバー法の制定へ

 「いつも眠たい」「あせってスピードを出しすぎるときがある」。これが重大事故につながっています。 大幅な賃金ダウンは、労働者の高齢化をもたらしています。平均年齢は56歳、年金を受給しながら働く労働者が増えているといいます。
 自交総連では、「安心・安全」なタクシー、良質なドライバー確保のため、全国的にはタクシードライバー法の実現をめざしています。京都では「乗務員登録制」を求めています。運転手に一定基準のマナーや地理知識・登録制度を実施しているところもあります。「規制緩和」を見直すときにきているのです。

目次へ