登記・測量の「一括委託方式」は違法 

「市民ウォッチャー」と前知事が和解

京都府は登記・測量業務について「原則入札」変更

 京都府が公共用地を取得するための用地測量や登記業務を一括して(社)「京都公共用地測量協会」(略・用測協)などに「丸投げ」していたことに対して、「市民ウォッチャー京都」が「違法な公金支出」であるとして、前知事に公金の返還を求めた訴訟に対して4月25日、和解が成立しました。
和解の内容は、@前知事と京都府は一括委託が地方自治法や地方財政法などに違法との疑念を抱かれてもやむをえないことに遺憾の意を表明する、A一括して包括的に委託する方法を廃止し、指名入札の方法とする、B前知事は今月末(4月)までに府に1800万円を、原告側に400万円を支払うなどというものです。
 この問題は、本来は地方財政法において「競争入札すべき」と規定された用地測量業務を、用測協ら3団体に随意契約していたもので、実際の業務は用測協に加盟する測量業者に割り振られ、用測協に「業務分担金」を上納していたというものです。本来は公平・公正であるべき業者選定が用測協に「丸投げ」されていたわけで、しかもOB天下り会社に業務が集中していたことなどが明らかになっており、これらの疑惑を「朝日新聞」が1997年に「官製談合」であるとスクープしています。
 
 府職労は「一括委託方式」に反対し奮闘

 こうした報道を背景に、行政の不正を監視する「市民ウォッチャー」がこうした「丸投げ委託の公金支出は違法である」として、京都地裁に公金の返還要求を求め提訴していました。2003年3月に京都地裁の第一審判決があり、前知事に約1億1500万円余の返還を命令、これに対し前知事が控訴、2004年5月大阪高裁では返還額が約2400万円に減額されたものの、いずれも前知事の公金の不正支出を認めており、その後、和解に至ったものです。判決は、「随意契約による業務発注は地方財政法上問題があり、各業者が用測協に支払った業務分担金は本来府が支出する必要のないもので、相当分を返還せよ」というものでした。また随意契約の金額を積算する単価についても、官民馴れ合いで不当に割高に設定されていましたが、この事実も判決は認定しています。
 府職労では土木建築部会を中心に、この「丸投げ制度」が突然トップダウン方式で持ち込まれた1994年当時、「唐突であり職場で議論されていない、拙速すぎる、用地職員の専門性が失われる」などの異議を唱えましたが、当局は強行しました。また朝日新聞が疑惑をスクープし社会的問題となった1997年には、「随意契約は地方財政法上問題がある、競争性のない単価設定は許されない」などと指摘、土木建設部当局に「この間の経過と全ての資料を公開すること、適法・適正に業務執行する方途を明らかにすること」などの要求を提出し、交渉を重ねてきました。
 こうした部会要求や交渉の中で、当局は、暫定的に「250万円以上は競争入札、250万円以下はひきつづき用測協に随意契約、競争性・公平性・透明性を暫定的改善の中で出していきたい、透明性を確保するため請け負った業者を明らかにする」などを回答。しかし、部会が要求した250万円以上の根拠も示さず、基本的な枠組みは現在まで残されたままでした。
 今回の和解成立で、京都府は「一括委託方式の廃止」を求められることになります。土木建築部会は、公平性・公正性・透明性のある「契約制度」の確立を求め、至急に具体案を提示するよう求めています。またこの間、10年余にわたって用地業務が「丸投げ」されてきたわけですが、用地職員の専門性を取り戻し、公正な業務をすすめる職場づくりも重要な課題となっています。

 京都府が登記・測量業務委託方法の変更について

 土木建築部当局は用地課長を通じて、4月に和解した内容に基づき「登記・測量業務の委託方法についての変更」を部会に提示してきました。その中味は@用地測量業務は原則、入札により決定する(ただし100万円以下は随意契約)、A登記業務は公嘱調査士協会と公嘱司法書士協会の2協会と随意契約とする、B実施は本年度から実施というものです。
 府職労は、「和解内容」を反映した「変更」と受け止めるとともに、業務についての「公平性・透明性・競争性」を徹底すること、職場の意見を充分汲みつくし仕事の改善などの要求解決に努力することを求めています。
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