府民サービス切り捨てのプログラムを許さない

「給与費・公債費プログラム」について府職労見解 

1.11月28日、知事は「府民サービスを守るための経営改革プラン:給与費プログラム・公債費プログラム」を発表した。「給与費プログラム」は、人件費総額に、全国初の「キャップ方式」を導入し、来年度からの5年間で警察官と教員を除く約8400人の17%にあたる約1500人の「定数削減」と「給与構造の改革」、「諸手当の抜本的見直し」によって、退職金を除く人件費総額を5年間で12.5%(約940億円)削減するものである。「公債費プログラム」は、公債費(臨時財政対策債、災害対策復旧関連起債除く)と普通建設事業費(災害復旧関連事業除く)の合計額を、原則17年度ベース(約1900億円:公債費877億円、普通建設事業費1012億円)に抑制するものである。
このプログラムは、「財政健全化への取組」のために策定したとされているが、「財政健全化指針(平成11年度〜15年度)、「経営改革プラン(平成16年度〜20年度)」には少なくともあった「歳入の増を図る項目」が欠如しているように、「支出の削減のみを目的」とした、府民と職員に痛みを強いる「府民サービス切り捨てのプログラム」であり、「改革」とは名ばかりの「改悪プログラム」にほかならない。

2.「給与費プログラム」で打ち出された「人件費総額にあらかじめ上限をはめるキャップ方式」は、職員の給与が、本来、府人事委員会勧告に基づき、労使交渉を経て条例案を府議会に諮って決められるものであることを無視したものであり、設定された上限を上回る措置が勧告なり労使合意でされたらどうするのか、また、災害などで超勤が増えた場合、上限があるからといって労基法違反のサービス残業を強いることになるのではないかなど、労働基本権にかかる重大な問題をもっており、到底、認めることのできない方式と言わざるを得ない。
また、「給与費プログラム」では「知事部局等の職員の人件費割合は全国31位と低い」と強調しながら、「全国最大規模の定数削減を実現する」として、「知事部局等の職員定数を5年間で1500人削減する」との目標が掲げられている。しかし、洛東病院の廃止や台風23号災害で明らかになった「現場力の弱まり」をもたらした土木事務所や保健所の統廃合が示しているように、この間に強行された職員の削減(99年から2300人削減)が府民サービスを低下させたことは明らかである。同時に、府職員の仕事の悩みの上位に「仕事が忙しくなった」「人員不足」があげられているように(府職労の04年組合員アンケート調査)、大幅な職員の削減で、府民の声を聞く、府民のための施策を考える余裕のない職場実態が引きおこされたことも明らかである。「職員削減を改革の成果」と自慢する知事の「改革を売り出すパフォーマンスであるプログラム」を私たちは認めることができない。府の財政・組織は府民のものであり。府政組織のあり方は、府民の暮らし・安全・健康・環境を守るために府政がどうあるべきかの十分な議論が必要である。議論なしの、削減のみを目的に、理念もない数字のみを先行させた「プログラム」でなく、いま求められるのは、「府民の暮らし・安全・健康・環境を守る京都府政」の推進であり、そのために必要な組織の確立、人員の配置である。

3.「公債費プログラム」も「府民に痛みを強いる「改悪プログラム」となっている。府債残高が「全国で少ない方から7番目」と分析しながら、「今後の公債費の増」を「普通建設事業費で調整する」としている。ムダな公共事業の増大によってもたらされた「今後の公債費の増」を作り出した府政運営についての責任は何ら明らかにされていないし、「舞鶴の和田埠頭」や「畑川ダム」、市内高速道路の建設などのムダな大型公共事業については「見直し表明」されていない。ここでも、府民の暮らしにかかる普通建設事業費の減のみが数字化されている。私たちは、この間、府民の暮らしを守るために「給与抑制措置」に協力してきたが、今回のプログラムは、こうした私たちの思いを無視するものであるとともに、中小企業の占める割合が高い京都経済を一層疲弊させることは明らかである。
 
4.政府の経済財政諮問会議は11月14日、「国家公務員の総人件費を今後10年間で対GDP比半減する」との「キャップ方式」を打ち出した(総人件費改革基本方針)が、今回の「給与費プログラム」は、その自治体版とも言えるものであり、他自治体に与える負の影響は大である。
今回の経過の中で明らかになったのは、総務省出身である山田知事が、小泉「構造改革」の忠実な先兵の役割を果たしていることである。
 今回の「二つのプログラム」がもたらすものは、府民と職員への痛み強要である。私たちは、その具体化を許さないために全力をあげるものである。同時に、府政運営そのものを変えるため、「府民の暮らし・安全・安心・健康・環境を守る京都府政」の確立めざし奮闘するものである。

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