いっそうの府民いじめをすすめる「府政構造改革計画」

    顔写真入りHPで「運営目標」

 京都府のホームページを開くと部局長の顔写真入りで各部局の「平成17年度運営目標」が掲載されていますが、ごぞんじでしょうか。「部局長名をクリックするとより詳しい内容がご覧いただけます」というこの運営目標。その性格は「部局長の知事等三役に対する契約・約束」(府職労交渉における職員長回答)ということですが、圧倒的多数の職員が新聞記事やホームページで見て、はじめて「運営目標」の存在を知ったというのが職場の実態です。
 ところが、職員長は6月20日付「建設経済新聞」で次のように語っています。「この前提として、部局長は室・課長と、室・課長はスタッフと契約することになります。私の職場(職員長グループ)では、職員が名札の裏に『仕事をする上での基本』を書いて、各々が自分の立場を常に確認するようにしています」と。  大多数の府職員はいつ契約をしましたか覚えはありません。こんなことが組織的な議論も経ず公表される、このような手法が「経営感覚」に基づく「行政品質の向上」にとりくむというこのプランのやり方なのでしょうか。


    なんで廃止なの?ものさしがない!

 「政策的経費20%以上の削減」…財政課の一方的な廃止指示。平成18年度の「当初予算編成にむけた既存事業の見直し」で今、府庁の職場は大変です。財政課が一方的に提示した見直し案を基本に、予算要求部局がそれを受け入れるか、修正を求めるか検討する、廃止方針に異論があれば「反論資料をだせ」という作業です。
 見直し調書には「事業廃止等が不可能な理由」という欄さえあります。「経営改革プラン」2年目の予算編成は、財政課による廃止の押しつけ以外の何ものでもありません。
 「人権関係は『人権』と聖域のようにコメントされている。何が基準で『廃止』がついているのかさっぱりわからない」「方針・理念も示さず、『削れ』だけの指示には納得できない」というのが職場の声です。
 知事は、今年の部課長公所長会議で「『廃止』ということを管理職の第1の仕事にしてほしい」という訓示をしていますが、こういう仕事のすすめ方が知事の言うやり方なんでしょうか。


    京都府を「経営体」に変質

 「経営改革プラン」は、京都府を「経営体」と見なし、「府民サービス」より「採算性」を優先させるとともに、地方自治の主人公である府民を「顧客」と位置づけ、「府政をあてにするな(自立と自助)」「サービスを受けるなら負担もせよ(受益と負担)」と弱者を切り捨てるプランといえます。
 また、「府民・民間企業・市町村との役割分担と協働」の名のもと、市町村に負担を押しつけたり、民間委託の具体化など、京都府の本来果たさなければならない役割を放棄しようというものです。
 地方自治体が、「効率性」という一つの価値基準だけで、すべての事業を「見直し」「削減」していいのでしょうか。現場には現場の価値基準があります。それを認めようとしない府政運営では、現場の力が落ちないか、安全や福祉などの面で致命的なことが起きないか、心配です。職場からは「地方自治体としての自殺行為ではないか」という声もあがっています。


    真の財政健全化にむけ職員の英知の結集こそ

 「骨太方針2005」により、地方自治と地方財政を破壊しようという攻撃が京都府にかけられています。それと真正面からたたかわない限り「地方自治」が守られない時代です。
 府民と職員に新たな犠牲をおしつける小泉流の「府政構造改革」ではなく、真の財政健全化にむけ、府民本位の事務事業見直しによるムダの解消、地方財政基盤強化のための府民的共同が求められているのではないでしょうか。
目次へ