府政を経営体と位置づけた府政再編でなく
 府民の命とくらしを守るための府政「改革」こそ必要 

京都府経営改革プラン(仮称)(検討素案)」について

府職労の見解 2004年10月4日  

1.京都府は9月10日、08年度までの5年間を対象とした「京都府経営改革プラン(仮称)」を年内に策定するための「検討素案」を発表しました。(以下、「検討素案」)。「検討素案」は、03年9月に策定された「京都府行財政改革指針(かいかくナビ)」(以下、「かいかくナビ)の財政版として位置づけられ、具体化をはかる項目として、「集中と選択による施策の見直し、事業手法の改革、府民・民間企業・市町村との役割分担と協働、効果的・効率的な行財政経営体制の確立」など7項目をあげています。

2.「検討素案」では「府民発・府民参画・府民協働」「府民本位」との言葉が使用され、いかにも府民のための「経営改革プランづくり」であるかのような装いがされています。しかし、「検討素案」の本質は、府政を経営体と位置づけ、府民には自立と自助を求め、府政の守備範囲を市町村との関係でも府民との関係でも限定させた「かいかくナビ」を今後強引に本格的に実施することを表明したものです。
 「検討素案」では、府財政の厳しさをことさら強調し、「プランづくり」のねらいとして、「これまでの削減型改革では限界があり、行政の運営手法を抜本的に見直し、行財政体質の構造改革が必要」と述べています。そして、その手法として、民間企業との協働、経営改革を推進する仕組みとして京都府行財政運営諮問会議の設置(仮称)を打ち出しています。まさに、経済財政諮問会議を武器に「構造改革」を強引に押しすすめる小泉内閣の手法そのものです。

3.「検討素案」は、「行政の運営手法を抜本的に見直す」根拠として府財政の厳しさをあげていますが、打ち出されている方向は、京都府を単なる経営体と位置づけた、府民と職員に痛みを強要する方向が主であり、府民に責任をもつ展望ある財政健全化策ではありません。京都府は、単なる経営体ではなく、府民の命とくらしを守るための組織です。府の財政・組織は府民のものです。
私たちは府職労は、この間、京都府政の財政健全化の基本方向として、@借金に依存した財政運営からの脱却をはかる、A不況・雇用対策の強化で府民の暮らしと経営を守ることにより、税収の回復をはかる、B府民本位に事務事業を見直し、ムダをなくす、C地方財政基盤の強化めざし、府民と手を携え、国に行動をおこすことを提起してきましたが、この方向での具体的努力が、今こそ求められていると考えるものです。とりわけ、地方交付税の削減を柱にした地方財政破壊を許さない運動の強化が何よりも求められていると考えるものです。

4.財政の厳しさを示すものとして示された「今後の財政見通し(試算」)」(以下、「試算」)には、不透明な事項が前提とされたり、説明責任が果たされていない点があるなど、多くの問題があります。
 @「試算」では、「地方交付税の基準財政需要額のうち、経常的経費及び投資的経費は伸び率を0で見込む」「国庫支出金は現行制度を基に」「三位一体改革に伴う国庫補助金負担分金の影響分を反映」したとされていますが、この点は、今、地方6団体と国及び経済財政諮問会議との間で「綱引き」がされている問題であり、今後の闘いでこそその方向が決まるものです。
 A投資的経費について、「特定の事業のうち、個別に見込むことが可能なものは個別に積算」とされていますが、特定の事業が何であり、どの程度積算したのかの説明はありません。ムダな公共事業の見直しが財政健全化の重要な柱であるだけに、積算の中身を示す必要があります。
 B「概ね10年後に実質的な府債残高を減少に転換」するとして「公債費は個別に所要額を積算」したとしていますが、その中身についての説明はありません。景気対策と称して公共事業をふくらませ府債を増加させたことへの総括も欠落しています。
 以上のような問題のある「試算」を前提にした「改革プランづくり」は、結局のところ、府民と職員犠牲を一層強めるものにならざるをえません。私たちは、府民・職員犠牲の「行財政改革」でなく、府民の命とくらしを守る立場での財政健全化、府政改革、府政運営をめざし全力で奮闘するものです。

5.「改革プランづくり」の一方で、外郭団体の見直しや指定管理者制度の導入、本庁組織の再編やIT化、病院経営の見直しや大学関係をはじめとした地方独立行政法人化など、「かいかくナビ」に基づく府政再編がこの秋、職員や府民の議論がないままに一方的に、強引に具体化されるおそれがあります。リハビリテーションの総合的な施策を明らかにしないまま、府民の命を守る立場を投げ捨てて、「赤字を理由にした廃止」を突然打ち出した「府立洛東病院」問題はその端的な例です。
 私たちは、今後具体化されるであろう個々の府政再編の表れに対して、府民の命とくらしを守るために、府民のみなさんとの共同を一層強め奮闘するものです。
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