京都のまちに祇園ばやしが聞こえる

立ち並ぶ山鉾

  函谷山鉾の鉾車中央は長刀鉾の衣装 長刀鉾に通じる廊下




左は、ちまきや扇子など販売している保存会の人たち
 
 勇壮で華麗な祇園祭は、1100年の伝統をもつ八坂神社の祭礼です。869年に京の都をはじめ日本各地に疫病が流行したとき、疫病の原因は「祇園牛頭天王の祟りである」として、平安京の広大な庭園であった神泉苑に、当時の国の数−66ヶ国にちなんで66本の鉾を立てました。そこに祇園の神を祭り、神輿を送って、災厄の除去を祈ったことにはじまります。これを祇園御霊会(ごりょうえ)と呼んでいました。
 その後、応仁の乱や太平洋戦争など中断を余儀なくされましたが、そのたびに京町衆によって復興をとげてきました。
 山鉾に使用されている上水引や前掛け、胴掛などの懸装品には、中国・西陣の綴織、東南アジアの更紗、ベルギー・フランスの毛綴織など世界中の美術品を収集、これを京町衆が引き継いできました。京都の地場産業の発展とともにその技術が発展してきました。しかし、地場産業の衰退とともに最近ではこの伝統の技を引き継ぐ職人の高齢化・少数化で途絶えてしまったものもあり、伝統産業の復興をも求める声がでています。
 また、懸装品の修復にはかなりの予算が必要で、保存会だけでは困難になっています。保存会そのものもマンションの乱立や担い手の高齢化などで維持が難しくなっています。国や自治体の援助が必要です。
 祇園祭は、7月1日の「吉符入り」にはじまり、31日の境内摂社「疫神社夏越祓」で幕を閉じるまで、1ヶ月にわたって各種の神事・行事がくり広げられます。クライマックスは、7月717日の32基による山鉾巡行です。
左から油天神山、長刀鉾、岩戸山、木賊山(どくさ)、船鉾