嵯峨野の秋冬

   

 降るような蝉の鳴き声、彼岸花やコスモスがにぎやか秋、熟した柿が風情を醸し出す晩秋、雪景色が牧歌的な景色に変える冬、若葉が吹き出し優しさに満ちた春、嵯峨野は四季それぞれの顔を持つ。いつ訪れても落ち着き、そっと心を包んでくれる。
 古寺めぐりもいいだろう、田園をゆっりなが眺めるもいいだろう、広沢の池まで足を伸ばすとまた風情が変わる。
 今年の冬、かなりな雪が降った。嵯峨野の竹藪は、夜が明けない、だれも足跡を付けていない時間からカメラマンが動く。純白の景色を撮影したいから。
 9月の20日頃。彼岸前から真っ赤に花が田圃の畦や小川の縁に咲き誇る。コスモスの色とりどりの花が浮き立つ。稲の実りで穂がたれる。家庭菜園にあでやかな花の色が迎えてくれる。 嵯峨野は、昔ながらの風景と現代が同居している。何回も訪れることで、味わいが深まるのも、嵯峨野の良さだろうか。

   

  

   

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