夕闇がせまる先斗町の風情

 先斗町は北は三条通の一筋南より、南は四条通まで、東は鴨川にのぞみ、西は高瀬川に沿うた木屋町通の間、南北500米余にわたる細長い街をいいます。べにがら格子の家が両側に建ちならんでおり、東西に50番まで数える大小の路地があります。
 この先斗町に水茶屋が初めてもうけられたのは江戸時代の正徳二年(1712)の頃といわれ、高瀬川を上り下りする高瀬舟の船頭や旅客目当ての旅籠屋が建ち並びました。
 文化十年(1813)に芸妓がみとめられ、祇園と並ぶ花街として有名になりました。
 先斗町歌舞練場はスクラッチタイルが貼られた外壁をもつ建物は鴨川沿いに独特の景観を形成しています。ここは先斗町の芸妓・舞妓の伎芸発表の場であり、鴨川をどりは、明治4年(1871年)に始まり、毎年5月1日から24日まで開催されています。
 夏が近づくと、先斗町の店は鴨川に川床をつくり納涼を楽しめます。
 昼間はひっそりとしていますが、夕闇が迫るころから、まちは活気にあふれ、舞妓さんやげ芸奴さんが心地よい下駄の音を響かせます。

 
 
ちょっとした目配り、心配りが楽しいまちの風情


べにがら格子が京の情緒をつくり、路地も京都の風情。
先斗町歌舞練場(右)はスクラッチタイルで風情をかもし出しています