創る

京焼・清水焼の世界


北村賀善さん

  
 土をこねロクロをまわす。土の塊がだんだんと形を成していく。北村賀善さんの手が、土の声を聞きながら土
をいつくしみ優しく動くのだろうか。土に新しい命が吹き込まれていくようだ。 「気分がのらない時はいい
ものができない」
 やっぱり集中力でしょうか。技と心がひとつになってはじめてすばらしい作品ができるのでしょう。 「気が
乗るときは、夜中であろうが一気に仕上げてしまう」「いいものができた時は、ほんまに満足」
 そんな作品は、「20年後、30年後にはもっとすばらしいものになる」という言葉どおり、焼き物の光沢に
新たな輝きがまし、別もののように見えるとか。 「創る」というすばらしさを聞いて心が豊かになったような
気分に。
 賀善さんの居間兼「展示場」には、たくさんの作品が並ぶ。山水画を基調にした作品が気分をゆったりさせ心
が満たされる。いつまで見ていても飽きない。
 いま、京焼、清水焼の経営は楽ではない。大きな窯元が次ぎつきに廃業の目にあっている。家族の力で支えら
れているのが実情。 20年先、30年先、100年先を見据えた支援、後継者づくりが自治体にも求められてい
る。
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