西陣織・伝統の技が光る

 西陣の町から機の音がだんだんと少なくなりました。1970年代は、石畳の路地から「ガッチャン、ガッチャン」という機音が響いたものです。
 繊維不況、逆輸入という逆風が吹きつづけ、厳しい経営状態がつづいていますが、今でも伝統の腕を守りつづけている職人さん、西陣労働者がいます。
 能衣装を織りつづけるTさん、この道49年のベテラン。横糸を通す早さ、正確さは見ていて感動します。1領おるのに30日はかかると言います。織機は今も木製。第二次世界大戦以前からのものもあるとか。
 型紙は大正時代のものも残っており、いまも利用されています。「虫干ししてやらんとだめになる」と言うから、保管に神経を使います。
 色とりどりの糸、糸繰り、華やかな能衣装だけあってきれい。中には金糸もあります。手間暇かけており上がった衣装、「30年から40年着ると丁度いい具合になる」そうです。


昔からの織機で昔ながらの腕で売り上げる能衣装
糸の美しさもさることながら織り上げる手は芸術的