京阪中書島駅を下りてすぐいっぱい飲み屋が並ぶ通りに足を踏み入れる。100メートルも行かない路地を右折すると30石舟の船着場に着く。新緑の運河をゆっくりと船が走る。酒蔵が並び、情緒豊な風情が疲れを癒す。
 寺田屋は相変わらずにぎわっている。庭には竜馬の銅像が立っている。写真で見ると大きく感じるが、実際は小さい。歴史のドラマの舞台を一目見ようという観光客があとを絶たない。今でも坂本竜馬は英雄か。 寺田屋から少しいくと竜馬どおり。昔から「竜馬どおり」と名がついていたわけではない。石畳の両側の商店街がつづく。
 伏見の町を彩っているのは、なんと言っても酒蔵。いた壁、煙突…。しかし、最近はマンションが建ち、だんだんと風情が奪われていっている。悲しい。酒造りに欠かせないのが水。
 街角であったり、酒蔵に記念館であったり、豊かでおいしい水が湧き出ている。気軽に利用できるのか、あちこちでボトルに水を入れている。京都に住んでいる人にとっては見慣れた景色も改めてゆっくり味わうとまた違った町に見えてくる。それが伏見のよさか。飾らない人たちが人情の色を添える。