「公民館も館長業務を含めて

指定管理者制度の適用可能」

文科省が自治労連に説明

 文科省が1月25日の全国主管部課長会議において、公民館にも指定管理者制度を適用し館長業務を含めて全面的に管理を行わせることができる旨の周知を図ったことを受けて、自治労連の要請にもとづき3月22日、公民館への指定管理者制度の適用について文科省から説明を受けました。

「社会教育法に矛盾しない」と説明

 自治労連側から、昨年9月の要請行動の際に、社会教育法28条が定めている公民館長等の職員の教育委員会による任命規定があるため適用については検討中と説明していたことをあげて、どういう検討をしたのか、また、なぜ指定管理者制度の適用が可能としたのか説明を求めました。
 文科省側は、「自治体からの関心も高いので、公民館についても図書館や博物館と同様に館長業務も含めて指定管理者制度を適用することができることについて周知を図ったものであり、地域の実情をふまえて自治体が住民サービス向上の観点から自主的に判断して適用していくべきものである」としたうえで、「平成15年に地方自治法の改正に伴って指定管理者制度が導入され、これまでの社会教育法と整合性をもつかどうか検討した結果、適用可能との解釈をはっきりさせただけであり解釈の変更ではない。図書館、博物館と同じ理由で適用可能とした。法改正はしない」と回答しました。
 具体的には、「図書館、博物館との間に法律の外形上の違いに何があるのか当時の法制定の経過にもさかのぼって趣旨を調べ、検討した。社会教育法が地教行法制定前の教育委員会法時代に制定されたことから違いを生じているのであって、特段の差はないという結論に達した」と説明しました。 自治労連側は、「そもそも公民館長任命の強い規定は、戦後の民主的改革の中で住民のコントロールを前提としたものであり、法律の外形上の検討のみにとどめるべきでなく、地域住民の意思をくみ上げ、参加がはかれるのかという視点が必要であり、館長業務等も含めて委任するのは問題がある。民間社会教育事業者たる営利企業が公民館の管理者となった場合、社会教育法23条の「もっぱら営利を目的として事業を行い、特定の営利事業に公民館の名称を利用させその他営利事業を援助すること」にふれるのではないか」と質しました。

「おかしなことが発生すれば指定業者を変えればよい」と無責任発言

 文科省側は、「公民館は住民のニーズや地域の事情をふまえて運営されるべきものであることに変わりはなく、もし、館長業務までは指定管理者に担わせるのがまずいと判断するなら、指定管理者へ委任する業務に館長業務を入れなければ良いことだ。現在の管理委託業務は指定管理者制度に移行しなければならないが、その範囲は自治体が必要に応じて判断して議会の議決を経て決めていけば良いという自由度の高い制度である」とし、「『特定営利事業の援助』にはあたらない」と回答。
 さらに、「民間社会教育事業者である営利企業が、公民館の管理者となった場合でも、あらかじめ条例で管理の基準や業務の範囲を定めてある。議会での議決によって管理者を決定していくのだから特定業者に偏らない運営がなされると考えている。法に抵触するような運営を管理者が行うとすれば自治体は是正を求めるはずだし、必要なら指定管理者を変わればいい。そのようなことがないように運用していくべきものと考えている。おかしいことをやったらチェックできる制度がある」と反論しました。
 自治労連は最後に、「公民館については文科省が一貫して責任をもってその振興を図ってきたものであり、この説明では納得できない。この問題について別途交渉の場をもつよう」要請しました。 
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